防衛費増額で“火事場泥棒”の指摘!「モーニングショー」で自衛隊OBが反論

「ひょっとしたら、ここでやると殴り合いになるかもしれない」

 4月27日放送の「羽鳥慎一 モーニングショー」で笑いながらこう語ってスタジオを沸かせたのは元自衛艦隊司令官の香田洋二氏。別室からリモート出演中の防衛ジャーナリストの半田滋氏とは長い付き合いのようだが、同番組ではまさに“殴り合い寸前”の大激論が勃発。香田氏が「許せません」と語気を強めるシーンも見受けられた。

 この日の放送で大きく取り上げたのは、日本の防衛費の増額。自民党が「敵基地攻撃能力」の呼称を「反撃能力」に改め、さらに防衛費についても「GDP(国内総生産)比2%以上」とする提言を示していた。

 香田氏は、限られた予算の中で「何%が適切なのか、ということについては、この先、政府と自民党は建設的な意味として(議論を)やるべき」と主張。これに半田氏は「まったく同感ですね」としながら、次のように続けた。

「今回、敵基地攻撃能力を反撃能力という言い方に提言をしていますけど、それと今回のウクライナ侵攻というのがどうしても重なって見えるわけです。しかも今回、突然、GDPの2%というふうに出したわけですから、ウクライナ侵攻に乗じて、今まで実現できなかったことを一気呵成にやっていこう、と。言葉は悪いですが、火事場泥棒のような印象を国民に与えかねないと、そんな感じがしてるんですね」

 この“火事場泥棒”のワードに反応した香田氏は挙手をして「ひとつだけ」と発言。「火事場泥棒というのは自衛隊に対して非常に失礼な言い方」と反論。半田氏と30年来のつきあいがあることを明かしたうえで、「これは許せません」とコメント。さらに「たまに撃つ、弾がないのが、たまにきず」というフレーズを持ち出して、自衛隊内でもかなり切り詰めて弾薬を節約してきたと主張。弾薬の備蓄不足から「ウクライナみたいなことになると遅いというのも事実」と議論の必要性を訴えた。
 
「防衛記者歴30年という半田さんは、その後、笑みを浮かべながら、『火事場泥棒』は自衛隊に対してではなく、提言を行った自民党を指した言葉だと説明していました。そのうえで、これまで自衛隊の装備システムの見直しがきちんと行われてこなかったのではないかと問題提起。島国である日本で、『海』『空』の重要性を説きながらも、『陸がこれほどの数が必要なのか』と、抜本的な見直しを岸田政権に期待したい、とのこと。半田さんが言う通り、財源が示されていない中での『2%増額』では、納得する国民は少ないかもしれません」(政治ライター)

 ともあれ、長年、国防に携わってきた自衛隊OBとしては、“火事場泥棒”の指摘を看過できなかったようだ。

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