侍ジャパンの台湾戦中止で始まる「新庄劇場」“シーズン2”

 栗山英樹監督のお披露目も兼ねていた侍ジャパンの台湾戦(3月5、6日=東京ドーム)が中止されることになった。オミクロン株の感染拡大が止まらない社会情勢もあったが、台湾側から「やめたほうが?」という“お伺い”もあり、NPBが決断したという。

「今回のプロ野球界の決断は、他競技にも影響を与えそうです。いちばん心配なのは、高校野球のセンバツ大会。感染防止策のさらなる徹底について、もう一度話し合うことになるでしょう」(テレビ局スポーツ部員)

 そして、今回の台湾戦中止の影響が最も大きく表れそうなのが、プロ野球のペナントレースである。

「かねて、感染防止の観点から『こんな時期にやらなくても?』といった意見が内部から出ていました。一方では、侍ジャパンの活躍がペナントレースへ関心を向けるきっかけになればと期待する向きもありました」(球界関係者)

 昨年11月の就任会見以来、プロ野球界の話題といえば、日本ハムファイターズの新庄剛志監督が独占してきた。そのBIGBOSS効果を他球団も無視できなくなり、

「交流戦の日本ハム戦までにコロナ禍が収まってくれれば…」

 なんて声がセ・リーグ6球団からも聞かれていた。しかし、言い方を変えれば、新庄劇場以外に興行アップにつながる話題がない、ということになる。

「侍ジャパンは若手中心の選手招集になる予定でした。そこで佐々木朗希、奥川恭伸、宮城大弥らが好投し、佐藤輝明が打ったら、所属チームのファンは喜びます。巨人の堀田賢慎が育成選手のまま好投したりすると…」(同)

 なお、NPBが代表戦中止を決断した背景として、コロナ禍で選手を招集するリスクとともに、ペナントレースと異なるスポーツメーカーのボールを使うことへの懸念も12球団から伝えられていたという。

 いずれにせよプロ野球は、侍ジャパンの国際試合という宣伝機会を失ったことに変わりはない。プロ野球界は新たなPR方法を考えなければならないだろう。

「2月16日の中日と日本ハムの練習試合前、立浪和義監督が清宮幸太郎を直接指導する異例の光景が見られました」(現地記者)

 他球団の選手を指導するのは、異例中の異例。練習試合ならではの光景もしれないが、これで清宮がペナントレースで活躍するようであれば、「立浪効果」として日本ハムだけではなく、中日にも関心の目が向けられるかもしれない。

 新庄効果の応用編ということか…。コロナ禍を言い訳にしないで、12球団は自力でファンを呼び戻さなければならないだろう。

(スポーツライター・飯山満)

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