11月15日、「紳士服のコナカ」を展開するコナカが2021年9月期(20年10月~21年9月)の連結業績を発表し、営業損益が約78億円の赤字だったことが明らかになった。コロナ禍でリモートワークが増加したことで、コナカ以外のスーツ大手3社も大幅な赤字に落ち込んでいるが、「スーツ離れ」の指摘もあり、コロナが落ち着いたあとも苦戦が続きそうだ。
「コナカは前年同期も49億円の営業赤字になっていましたが、さらに赤字幅が広がっています。コナカ以外の大手3社は3月期決算となっていますが、11月にそれぞれ21年4月~9月までの中間決算を発表していて、『洋服の青山』や『ザ・スーツカンパニー』を運営する青山商事は約71億円、『スーツのはるやま』や『P.S.FA』を運営するはるやまホールディングスは約37億円、『AOKI』を運営するAOKIホールディングスは31億の営業赤字を記録しているのです」(経済ジャーナリスト)
しかし、これはコロナの影響によるものばかりではない。小島ファッションマーケティングによれば、紳士スーツ市場のピークは92年で7750億円程度の売上があったと見られているが、コロナ禍以前の19年には2250億円を割り込んでいて、すでに7割近く減少していた。スーツ離れが進んでいるのは「夏暑く、冬寒い」「動きづらい」「肩がこる」などが挙げられ、15年にマイナビニュースが行ったアンケートによれば、64.3%が「スーツで仕事をするべきではない」と回答していた。
「今後、もしコロナが一段落したとしてもリモートワークを継続する会社は多いと見られていますし、スーツの売上が回復するのは難しいのではないでしょうか。しかも、スーツの購入は5年に1回未満が過半数を占めるなど頻度が非常に低いのですが、最近では『ユニクロ』や『ワークマン』といった、安くて機能的なスーツを販売するところも増えてきましたから、スーツ専門店が復活するのは並大抵ではない」(前出・経済ジャーナリスト)
コナカではオーダースーツや女性向け商品の伸びを見込み、黒字化の見通しを立てているが、果たしてどうなるか。
(小林洋三)