AOKIが五輪元理事に「4500万円賄賂疑惑」 巻き起こる「スーツ不買」ツイートの代償

 東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の高橋治之元理事が、大会スポンサーだった紳士服の「AOKIホールディングス(HD)」から大会開幕までに少なくとも4500万円を受領していたことが明らかになった。
 
 高橋元理事は代表を務めるコンサルタント会社「コモンズ」を通して2017年9月にAOKIHDとコンサルタント契約を結び、21年の大会開幕直前まで毎月100万円を受け取っており、総額で少なくとも4500万円以上を受領していたことが関係者によって明らかになっている。五輪組織委の理事は「みなし公務員」として職務に関する金品の受領を禁じられているため、東京地検特捜部も捜査を行っている。
 
 なお、特捜部の事情聴取にAOKIHDの幹部らは、五輪関係の人脈を紹介してもらったり、五輪の公式ライセンス商品を販売するため「高橋さんの力に期待した」などと説明しているという。また、高橋元理事も「五輪に関する働きかけは一切していない」と否定しながらも、読売新聞の取材にAOKIの公式ライセンス商品の審査の手続きを早めるよう、組織委の担当に働きかけていたことを明かしている。
 
 これにネット上では《五輪には多額の税金が投入されている。それが私利私欲のために利用されているのは絶対に許せない》《五輪を誘致するのは大っぴらに税金を私物化できる機会。AOKIも氷山の一角でしかないだろうし、もう二度と日本で五輪はやってほしくない》など批判が殺到しており、中には《自分はAOKIを許さないという意思表示のために二度とここでスーツは買わない》と不買の意思を示す声も見られた。
 
「AOKIHDはスーツ離れやコロナ禍にリモートワークが普及したことなどから、21年3月期には119億円の最終赤字を記録するなど、ここ数年は業績が低迷していました。しかし、22年3月期は、新入社員や新入学の大学生向けのスーツの販売が想定より好調だったことなどから、25億円の黒字に転換していたのです。ようやく業績が持ち直してきたというのに、今回の一件は顧客に大きなマイナスイメージを与えてしまいました」(経済ジャーナリスト)

 代償は小さくなさそうだ。

(小林洋三)

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