飲食店の「ネット予約」急回復でも“新・忘年会は慎重”の裏腹事情

 10月21日、グルメ情報サイトの「ぐるなび」が最新の「ネット予約利用動向レポート」を発表し、緊急事態宣言解除後の飲食店のネット予約が新型コロナウイルス流行前の水準まで急回復したことを明らかにした。飲食業界にとっては明るいニュースだが、それでも今後は飲食店にとって厳しい状況が続くとの指摘もある。

「ぐるなびによると、緊急事態宣言解除後の10月1日~15日までの同社のネット予約データを1カ月前の9月1日~15日と比較すると、約2.6倍に増加したといいます。この予約数は2019年のコロナ流行前とほぼ同じだといい、特に居酒屋やバーの予約が大幅に伸びているといいます」(社会部記者)

 これにネット上では《今まで外食を我慢していた人たちが一斉に動き出した感じか》《やっぱりGo To キャンペーンなんていらなかったんや!》など前向きな意見も多く見られたが、一方で10月22日に東京商工リサーチが発表した「忘・新年会に関するアンケート」調査によれば、企業の7割が忘・新年会を開催しないと回答したという飲食店にとって厳しいデータもある。

「ぐるなびは『ネット予約利用動向レポート』と併せて『ネット予約に関する利用意向アンケート』の調査結果も発表しており、ぐるなび会員がネット予約を選ぶ理由の1位は『確実に席が確保できる』こと、2位は『空き状況が確認できる』ことが選ばれました。緊急事態宣言は解除されましたが、現在も飲食店は時短営業を続けており、そもそも営業しているかどうかが分からない店も多いので、確実性の高いネット予約が選ばれているというところでしょう。その反対に、ネット予約に対応していない個人店などは客足が鈍く、酒類を提供しているにもかかわらず緊急事態宣言中と変わらずガラガラのところも少なくありません。コロナについては第6波が確実にやって来るとの見方があることや、企業が忘・新年会に慎重になっているように、ネット予約が堅調とはいえ、飲食店がコロナ前の水準に戻るのはまだまだ先の話と言えるでしょう」(経営コンサルタント)

 飲食店にとっては厳しい冬がまたやって来ようとしている。

(小林洋三)

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