もはやドロ船出航だ。総理就任からわずか10日、史上最速で衆院解散に踏み切る岸田内閣。「二階切り」と「菅降ろし」を実現してまんまと総理に上り詰めたが、その実態は「安倍カラー」が濃厚な傀儡内閣だ。新政権の黒い箱を突っついてみれば、積み荷は暴発寸前の危険物ばかりで‥‥。
読売56%、毎日49%、朝日45%‥‥。10月4日の発足を受け、新聞各紙が発表した岸田文雄(64)新内閣の支持率は各紙バラツキがあるものの、いずれも6割に満たない低調ぶり。発足当初の〝ご祝儀相場〟もナシという低空スタートとなった理由を、政治部デスクが説明する。
「ポスト菅を巡る、約1カ月にわたった総裁選は、新聞、ワイドショーが候補者の横顔をこぞって取り上げるなど盛り上がった。しかし、当初は『森友問題』の再調査を示唆した岸田氏が、直後に前言撤回する弱腰ぶり。しかも、改革派・河野太郎を打倒するために安倍晋三元総理(67)が推した高市早苗新政調会長(60)と裏で手を組んでいたことが明らかとなり、『古い自民党の復活だ』と鼻白む有権者が続出した」
さらに、4日に発表された新閣僚は13人が初入閣となったが、安倍氏が実質的オーナーの細田派から4人が抜擢。しかも萩生田光一経産相(58)、茂木敏充外相(66)、岸信夫防衛相(62)など、安倍内閣を再現する忖度人事でフレッシュさは皆無だ。
政治ジャーナリストが人事の内幕を明かす。
「安倍元総理は子飼いにする萩生田氏の、財務相または官房長官という要職での起用を希望していた。しかし、萩生田氏は官房副長官時代に『加計学園問題』に関わった疑惑のど真ん中のメンバー。財務相のポストは、麻生太郎氏(81)が義理の弟である鈴木俊一氏(68)に禅譲する形で押し切られた。そもそも大学入試制度に関連した『身の丈発言』など、舌禍騒動も絶えない萩生田氏は高校時代にヤンキーだった武闘派で、その過去が晒される恐れもあるため、内閣のスポークスマン役はご破算になったようです。結局のところ、安倍内閣のブレーンとして暗躍した経産省出身の秘書官からの入れ知恵で、経産相に落ち着いた」
滑り止め経産相など聞いたことがない。
さらにダーティーな過去で注目されるのが、来る衆院選で金庫番の役割を担う甘利明幹事長(72)だ。総裁選ではいち早く岸田氏支持を打ち出し、同じ麻生派から出馬した河野氏の勢いを断った。
「その見返りとして党ナンバー2の地位の確保にまんまと成功した。しかし、この甘利氏には、6年前に都市再生機構(UR)と補償交渉をしていた業者から現金を受け取ったとされる問題がある。甘利氏は騒動後、睡眠障害を訴えて数カ月も雲隠れした後、経済再生担当相を辞任している。この疑惑の人物を幹事長に起用したことで、安倍・菅に続き『説明しない政権』が踏襲されることになる恐れがある」(政治部デスク)
12日からの国会では、この甘利幹事長の起用が紛糾の的になるのは必至だった。
「政権のど真ん中に疑惑の人物を据えるわけですから、野党にとっては格好のネタ。立憲民主、共産、国民民主3党は合同プロジェクトチームを作り、徹底攻撃する構えでした。しかも甘利氏はこの疑惑とは別に、19年に開かれた政治資金パーティーに出席して講演を行っている。実はこの会合で集めた162万円が政治資金として報告書に記載されていないのです」(ジャーナリスト)
相次ぐウラ金問題に、新・金庫番はどこまで「寝耳に水」とシラを切れるか。
*「週刊アサヒ芸能」10月21日号より。(2)につづく