小石河連合も手をこまねいて見ているわけではなかった。
「安倍氏や麻生氏を『古い自民党の象徴』と見立て、改革派をアピールしながら小泉氏と石破氏がグイグイと前に出て、若手・中堅議員の票の掘り起こしに尽力していた」(政治部記者)
それでもアベノフォンで河野支持を表明した議員が高市支持に心変わりし、次々と切り崩されていくと、河野陣営の雲行きは怪しくなっていく。
「総裁選の中盤には、00年にかつてのゴシップ誌『噂の眞相』で森喜朗元総理(84)と高市早苗新政調会長(60)のあられもないイラストとともに、2人の関係が噂されたという記事が怪文書として出回ったんです。誰が〝犯人〟かはわかりませんが、高市氏を陥れようとした戦略としては幼稚すぎると一笑に付されていた」(自民党関係者)
地味な嫌がらせをよそに、高市氏を決選投票に滑り込ませるため、安倍氏は「陰のプロデューサー」の役割を一段と強めていく。
「テレビ出演時はトップスとボトムスの色合いとバランスを考えたほうがいいとか、眉毛は真っすぐにメイクしたほうが印象的だとか、こと細かくアドバイスしていました。あまりに的確だったので、どうやら昭恵夫人(59)の助言をそのまま伝えていたようです」(政治部記者)
一方、出馬会見で岸田氏に「総裁を除く党役員は1期1年、連続3期まで」と喧嘩を売られた二階俊博前幹事長(82)は、しばらく不気味な沈黙を続けていた。が、安倍・麻生連合に次ぐ3人目の「悪人」は静かに動き出すと、岸田氏以外の立候補者に対して出馬に必要な推薦人を送り出す。
「気脈を通じる森山裕国対委員長(76)が河野氏支持を表明したのも、二階氏の影響があった」(政治部記者)
悪人同士の駆け引きが熾烈さを帯びてくる中、迎えた総裁選本番の最後に二階氏は悪手を打ってしまった。
「河野氏の国会議員票は1回目は86票、決選投票は131票で上積み分は二階派の票が流れたとみられています。本番前には、決選投票になれば勝ち馬に乗って岸田氏に投じると噂されていたのですが、どうしても岸田氏を許せなかった。大差での勝利を阻止するため、最後っ屁を放ったのです」(政治部デスク)
結果、泥水をすすれなかったことで、二階派は人事面で冷遇の憂き目に。総裁選後、とある保守派のベテラン議員は満足そうにこううそぶいたものだ。
「日本に巣食うガン細胞を除去できた。河野氏、小泉氏、石破氏、そして二階氏。日本の国益を損なう恐れがあっただけに、まとめて表舞台からあぶり出せた成果は大きい」
この先、親玉の失墜で二階派は瓦解の危機が訪れ、メディアに持てはやされた小石河連合に至っては、
「永田町で『国家てんぷくトリオ』と揶揄されていますよ」(自民党関係者)
雑巾がけは10年じゃ足りないようだ。
*「週刊アサヒ芸能」10月14日号より。(3)につづく