営業マンも試乗もなし?ホンダ、国内初「新車ネット販売」の狙いとは? 

 ホンダが、日本の自動車メーカーでは初となる、国内での新車のオンライン販売を始めることが明らかになった。自動車業界に詳しいジャーナリストが解説する。

「発表によれば、ホンダが来月立ち上げを予定しているこの専用サイトは、ホンダの子会社が運営。車選びから見積もり、購入契約、支払いまで全てオンラインで完結できるというもの。コロナ禍で対面を避けたいというニーズが増えたことを受け、スマホなどからでも手軽に購入できる環境を整えることで、若者のニーズを拡大する狙いがあるようです」

 日本では中古車のネット販売はあるものの、メーカーが新車をネットで直接販売しているのは「テスラ」のみで、Amazonで販売するBMWも、一部車種に限定しているのが現状だ。

「とはいえ、海外ではフォルクスワーゲンやボルボ等、多くのメーカーがすでにオンライン販売を取り入れていて、トヨタや日産も海外ではオンラインの販売サイトを立ち上げています。つまり世界では、オンラインによる自動車の購入が特別なことではなくなりつつあるのです」(前出・ジャーナリスト)

 コロナの影響でそうした状況が加速していると思われるが、これまで日本で新車のオンライン販売が普及しなかったのはなぜなのか。

「人口密度の高い日本の場合、一部離島を除けば市街地には必ずどこにでもディーラーや自動車販売店があります。しかも、数百万円という高額な商品なので、ユーザーは自ら販売店に足を運び実車を見て、試乗してから購入するというのが一般的な流れ。しかも日本人が車を買うときには、下取り価格や値段交渉して、契約書に判を押すといった習慣があります。そうした事情が、日本で自動車のネット販売が広がらない最大の要因のようです」(前出・ジャーナリスト)

 ホンダの専用サイトでは、販売台数が多い主力車種を中心に扱い、都市部から始め徐々に対象エリアを広げていくことを検討しているという。複数のディーラーを廻り、試乗させてもらい、オプションを考え、値引き交渉する…コロナによって、そんなスタイルも大きく変化していくのかもしれない。

(灯倫太郎)

ビジネス