特効薬がない未知のウイルスへの対抗策として、現時点でいちばん有効とされる手立ては「ワクチン接種」だ。今年2月に先行接種が開始され、すでに国民の半数以上が2回目の接種を済ませている。しかし、ワクチン接種も悪徳商法のエサとなっていた。関東在住の50代主婦が眉をひそめて話す。
「9月上旬頃に『自衛隊大規模接種センター予約サイト案内』という件名のメールが何通も届きました。記載されている電話番号は本物でした。ところが予約サイトのURLをクリックしてみると、なぜかクレジットカードの情報を入力する画面になったんです。私は自治体で1回目の接種予約をしていたので、当然ながら有料と聞いてすぐに詐欺だと気付きましたが、巧妙に作られていましたよ」
こうした事例は氷山の一角。「ブースター」と呼ばれる3回目の接種希望者もターゲットだ。コロナ禍の犯罪に詳しいヤクザ組織の関係者・X氏が語る。
「ヤクザの若い奴らがコロナウイルスに効くって『丸山ワクチン』を売りつけてるよ。フェイスブックなんかを利用して購入希望者を探しちゃ、ワクチンと注射器を送るだけだ。支払いは振り込みで、1本2万5000円。本物のワクチンを送ってるケースもあるらしいが、ほぼニセモンだよ(笑)」
丸山ワクチンはガン治療薬として使われており、週3回ほど通院して医師に打ってもらう。正規の費用は40日分20本で9000円(税抜き)だ。もちろん、コロナウイルスに効くというエビデンスがまったくないことは言うまでもない。
人の弱みにつけ込んで、裏社会はコロナバブルで沸きに沸いているという。
コロナ禍で収入が半分以下になった、中小法人や個人事業主が申請した「持続化給付金制度」も食い物にされている。先のX氏が続けた。
「偽装申請で大儲けだよ。大人数で組まれたグループでは億単位の稼ぎだったってよ。関西の有名な会計士の名前を勝手に使って、東京で商売人や、商売もしてない学生を集めて給付金申請するんだ。前年の収入をでっち上げて書類を提出したって、大量の申請の山に行政のチェック機能なんて追いつきやしない。個人事業主がもらえる上限の100万円まで出させるんだ。本来なら全額100万円がもらえるところを手数料50%を抜く。1件ごとに50万円儲かるってわけだな」
あまりの不正続出に、チェック不能なこの制度はこのほど、一時中断に追い込まれたばかりだ。
*「週刊アサヒ芸能」9月30日号より。(3)につづく