ホームラン王争いでリードを許した大谷翔平選手が“スピード”で魅せる。
日本時間9月15日のホワイトソックス戦は「2番・DH」でフル出場したが、ノーアーチに終わった。3三振である。
「ホームラン王争いで1本差のトップに立ったウラジミール・ゲレーロ・ジュニアは、打率もリーグトップ。打点当争いでも3位につけており、三冠王の可能性も出てきました。『三冠王達成ならMVP』という見方も強まってきました」(在米ライター)
ホームランを打つペースが失速しつつある大谷に対し、ゲレーロ・ジュニアには勢いが感じられる。試合後、エンゼルスのジョー・マドン監督は「ファンが、MVPレースを左右するのは本塁打王のタイトルだという考えに傾くことがないよう、願っている」と懸念していた。
しかし、同試合を中継した地元局・BSウエストが興味深いことも語っていた。「彼は走れます(リーグ4位タイ)。ピッチャーとしての守備も巧い」と――。
大谷は23盗塁をマークしている(同時点)。盗塁王争いはロイヤルズのウィット・メリフィールドが40盗塁でダントツの1位。投手として先発マウンドに挙がる大谷の状況を考えると、盗塁王争いに食い込むことは難しいが、同2位のセドリク・ムリンス(28個)、同3位マイルズ・ストロー(27個)との差を少しでも縮めれば、大谷の「走れる」要素がさらにクローズアップされるだろう。
「ここ最近、大谷は『2桁勝利&2桁本塁打』の記録を、いつ達成するのかで注目されています。現在、9勝を挙げているので記録達成は時間の問題ですが、1918年のベーブ・ルース以来103年ぶりの快挙。だから、ホームラン王争いをしている『打者・大谷』よりも、『投手・大谷』への関心のほうが強いですね」(同前)
「2桁勝利&2桁本塁打」はそれだけでも素晴らしい記録だが、そこに「走れる」要素が強いインパクトを持って重なってくれば、MVP投票において大きなプラスとなる。ケガのリスクをともなうが、積極的に盗塁を仕掛けるべきだろう。
一部では「2桁勝利」に到達した後は、打者に比重を置いてくるとの情報も交錯している。チームがホームラン王争いを支援するためだが、盗塁数も積み上げていけば、それこそ、ベーブ・ルースも成し得なかった快挙である。終盤戦はヒットで出塁した後も目が離せそうにない。
(スポーツライター・飯山満)