エンゼルスの大谷翔平がア・リーグMVPに選ばれた。それも、記者30人全員が1位投票の満票である。日本人選手の受賞は、2001年のイチロー氏以来となるが、投票結果を生中継する現地テレビ放送中、こんなことも囁かれていた。
「日本人らしい。サムライ。イチローのときもたしか一人だったはず」
中継された大谷の映像を見て、メディアからそんな声も出ていた。良い意味で、違和感というか、日本人らしさが感じられたそうだ。
そもそも、大谷を始め、2位のブラディミール・ゲレーロ・ジュニア、3位のマーカス・セミエンはスタジオにはいなかった。3選手とも中継カメラでのインタビューとなったが、大谷は“一人”だった。画面外に通訳がいたが、過去、この手の中継では家族や恋人、友人といっしょに映り込み、はしゃいでみせる選手が多く、一人でしっかりと質問に答える大谷の様子が初々しかったというのだ。
「ゲレーロ・ジュニアは子どもを抱っこしていました」(米国人ライター)
また、エンゼルスも大谷のMVPを確信していたのだろう。発表とほぼ同時にTシャツなどの記念グッズをオフィシャルショップに並べ、一夜明けて、明日の開店と同時にセールを展開するという。
しかし、大谷は「今夜は祝福パーティーか?」の質問にも、
「特にないです。1人で寂しく過ごすと思いますけど(笑)。家族というか、母親とかは(自宅に)来ているので、帰ったらいると思いますけど。また明日もあるので、早めに寝ると思います」
と、笑っていた。
すでに来季に向け、トレーニングも開始したとのコメントにも共感を持った米国ファンも多かったそうだ。
ナ・リーグMVPのフィリーズのブライス・ハーパー外野手は涙を流していただけに、大谷の対応が際立って見えたのだろう。来季は投打ともに大谷は対戦チームから徹底的にマークされる。その覚悟が淡々とした対応につながったのかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)