玉木雄一郎(たまき・ゆういちろう)1969年、香川県生まれ。東京大学法学部卒業後の93年に大蔵省入省。2009年、第45回衆議院議員総選挙に民主党公認で香川2区から立候補し、初当選。その後、民主党政調副会長、民進党幹事長代理などを歴任。18年から旧国民民主党の代表を務めた後、新「国民民主党」の代表に引き続き就任した。早くから旧民主党若手のホープとして知られ、実家は兼業農家で農政通でもある。
新型コロナや東京五輪強行で国民の不満は爆発寸前! 今、求められるのは国民の声に耳を傾ける誠実な政治家だ。そんな状況下で、国民民主党の玉木雄一郎代表は次期衆院選をどう戦うのか。一度のテレビ共演でその魅力を見抜いた天才テリーが、勝てる党をプロデュース!?
テリー 国民民主党って、すごくいいこと言ってるのに、なんか浸透してないというか、理解されてないですよね。
玉木 馬券で言えば、今買えば間違いなく万馬券だと思うんですけどね(笑)。選挙を考えたら大きな党にいたほうが有利なのに、「目指すべき政治の姿はこうだ」と、武士は食わねど高楊枝みたいな人ばっかり集まってるんですよ。ただ悲しいかな、衆議院は7人だけ。支持率は上がらないし、認知も進まないんです。
テリー そもそも、立憲民主党と分かれた決定的な理由って何なんですか。
玉木 ひとつは現実的な政治をやろうと。民主党政権は結局、政策的なすり合わせをせずに、とにかく数が集まれば何とかなるってやった結果、ああなったわけですよ。あれを二度とやっちゃいかんなと。別に私は枝野さんや立憲とケンカする気はなくて、あの時(編注:昨年9月の立憲民主党との合流)、もう少し政策的なすり合わせができれば合流もあったんですけどね。
テリー あと、共産党とのすり合わせもね。
玉木 そこも同じなんですよ。共産党さんには個人としては非常に立派な議員もいらっしゃって、いろんな法案も一緒に出したりするんですけど。ただ、尖閣だけじゃなくて、香港がああなって、台湾もどうなるかっていう中で、安全保障に対しては現実的な対応が必要ですよね。1000年後に自衛隊は必要ないかもしれないけど、現実として今は自衛隊も日米安保も必要なので。辺野古の基地のことで民主党政権はコケたので、安全保障については現実的でありたいと。
テリー 現実的ってことは、安全保障に関して、自民党と大差ないということ?
玉木 そうですね。バイデン政権とトランプ政権も、あんなに違うと言いながら、対中国政策はむしろバイデン政権のほうが厳しいですからね。だから外交は、ほとんど同じでいいんですよ。国内の政策は言ってみれば家族の話なので、いろいろ変えてもいいんですけど、外交はご近所との付き合いなので、家主(政権)が変わったからって急に変えたらご近所がびっくりしちゃう。あまりにもアメリカの言いなりになっているところは変えたほうがいいですが、基本的には今の路線でいいと考えてます。
テリー 天皇制は?
玉木 私は天皇陛下を尊敬しています。憲法第一条に「日本国民統合の象徴」と書いてある以上、それを守るのが国会議員の務めです。
テリー そうすると「なくせ」と言ってる共産党とは違いますよね。だから僕はその点で、立憲にはすごく矛盾を感じるんですよ。
玉木 共産党さんが近づいてくれればいいんでしょうけど、立憲さんが向こうに寄っていってますからね。仮に共産党も含めた政権ができる場合には、せめて天皇制や自衛隊や日米安保を共産党が認めないと絶対に矛盾が生じます。衆議院選挙は政権選択選挙なので、基本的な国のあり方についてごまかしは許されない。そのあたりはきちんとすべきというのが立憲との一番の境目になってますね。
*「週刊アサヒ芸能」8月26日号より。(2)につづく