無印良品は環境への負荷を削減するため、現在販売されているペットボトル飲料のうち12品目をアルミ缶に切り替えると発表した。同社が積極的に取り組んでいる地球資源の循環化や廃棄物削減の一環で、ペットボトルに比べアルミ缶のリサイクル率が高いことや、遮光性能による品質維持の高さも期待でき、フードロス問題の観点でもアルミの優位性を加味して切り替えに至ったという。
昨年にはプラスチックごみを削減する目的で、店内に無料給水機が設置され、同社で販売されている繰り返し利用可能の「自分で詰める水のボトル」の売上も好調。この取り組みは全国のマイボトラーから評判を呼んでいるが、今回のアルミ缶への切り替えに寄せられているのは、称賛の声だけではないようだ。
「アルミ缶容器に変更される12品目の商品は、パッケージだけでなく、内容量と価格も変更されます。従来のものより容量、価格ともに下がりますが、実質的に値上げの形。ノンカフェインでもおいしく、お手頃な価格で人気の『グリーンルイボスティー』は、500mlで100円の従来品から375mlで90円に。現時点ではアルミ缶の製造や型の選択肢が限られることや、大量生産によるコスト削減効果がペットボトルほどは見込めないことから、サイズ変更と実質値上げに至ったようです。価格については今後も検討されるそうですが、消費者からはエコ仕様での実質値上げに不満や反発の声があがっています」(経済誌ライター)
ネット上では《エコと言えば聞こえはいいけど値上げするのね、残念》《環境には優しいけど消費者に優しくないな》《金属アレルギーでアルミ缶に口をつけると唇が荒れてしまうのでもう買わない》《この容量でこの値段…“意識高い系”の人はこれでいいのか?》と実質値上げやアルミ缶への変更に抵抗感を示すコメントも一部で見受けられた。
マイボトラー向けの無料給水サービスが好評なように、消費者の環境意識としては「エコに取り組んだほうがお得」という方程式が成り立たないと批判が噴出してしまうのかもしれない。有料化したレジ袋を買うのがもったいなくてエコバックを持ち歩く人が増えたように、環境意識を高めると節約できるという利点がなければ、すべての消費者を納得させるのは難しいのかもしれない。
(浜野ふみ)