映像配信ビジネスの覇権やいかに。ネットフリックスとアマゾン・プライムビデオの強さが目立つこの分野で、様々な地殻変動が起こり動きが激しい。
去る3月30日にU−NEXTが会見を開き、アメリカ大手のワーナーメディアと包括提携。つまりはワーナー傘下の映像配信事業を手掛けるHBOとサブスクリプション型映像配信の独占契約を交わした。
「ワーナーは『セックス・アンド・ザ・シティ』や『ウォッチメン』などのドラマが有名。今アメリカでは『ゴジラvsコング』がコロナ後の映画興行収入の記録を更新して好調ですが、これなどもHBOでは映画館と同時公開で見ることができます」(経済ジャーナリスト)
この分野では正確な契約者数があまり公表されないのでその数は不明なものの、一説では国内ではネトフリが契約者300万人ほどを擁し、アマゾンがそれに迫ると見られている。そして200万人のU−NEXTがDAZNやHuluを抑えて国内3位とされる。
U−NEXTの狙いは当然、まずは3位の座を揺るぎないものとしつつ、さらに契約者数を増やすこと。そして一方のコンテンツ制作側でもあるワーナーは、実は映像配信の先駆けであり、ネトフリもそのビジネスモデルを真似したと言われるHBOによる自社配信の道を選択したので、「配信」の方でネトフリやアマゾンに対抗する必要がある。だからこその“連合”が成立した。
一方、アメリカでは”強者”ネトフリとソニー・ピクチャーズが手を結んだ。ソニーはスパイダーマンやジュマンジの人気コンテンツがシリーズものとしてあるが、これをネトフリが手に入れた格好だ。
「契約は、22年以降のソニー作品は劇場公開後18カ月に限りネトフリが米国での独占的権利を確保したというもの。この権利については複数社が獲得に動いていたようですが、『4年間で10億ドル』という条件が一番良かったのでしょうか、結局はネトフリに落ちました」(前出・ジャーナリスト)
契約では加えて、ソニーサイドが劇場を通さずに直接配信に回すと決めた作品も、ネトフリが独占的に流すことができるものとなっている。
今後は上記HBOとコンテンツ側である米ユニバーサルやフォックスとの間で結ばれた独占契約の期限も切れるそうで、となれば同じような連携による顧客囲い込みとコンテンツ確保の争奪戦が今後も繰り広げられることになるだろう。
(猫間滋)