新型コロナウイルス禍で新たに契約した外国人選手の来日が遅れている。当初、プロ野球各球団の関係者は「開幕戦まで間に合わないかも…」と漏らしていたが、ここにきて「東京五輪でペナントレースが中断する7月、いや、今シーズン中の来日も怪しくなってきた」とこぼしている。
そんな外国人選手の来日問題に揺れるNPBに、「再検討する価値がある」という情報が飛び込んできた。
「2億円以上の高額年俸に見合わないとして、阪神を1年で自由契約になったジャスティン・ボーア内野手が、3月5日(日本時間6日)にMLBのSFジャイアンツとマイナー契約を結びました」(スポーツ紙記者)
当初、ボーアは阪神との再契約が難しいと知ると、「他球団でも」とNPB残留を熱望。それも叶わなかったが、韓国球界から複数のオファーがあり、本人も前向きとも伝えられていた。しかし、実際はそうではなかった。
「非公式というか、接触程度なら本当に複数球団のオファーがあったのかもしれません。でも、きちんと代理人にアタックしたのは韓国のLGツインズだけでした。それも、プレー以外の『条件』をつけて…」(球界関係者)
そもそも、LGツインズの本命は、ボーアではなかった。2020年シーズン、38本塁打を放ったロベルト・ラモス内野手を残留させることで、残留説得に失敗したら、ボーアと本格的な交渉に入ると交渉の順番をつけていたというのだ。結局、そのラモスの残留が決まり、今回のSFジャイアンツとのマイナー契約にいたった。また、その過程ではこんな指摘も聞かれた。
「現在、NPB各球団に合流できた外国人選手は昨季も日本でプレーしていました。合流できていないのは、初来日の選手ばかりです。新型コロナの水際対策で日本への入国許可が下りないからで、日本での滞在経験がある選手に比べてかなり難航している模様。ボーアの昨季の成績はイマイチでしたが、2年目に本領を発揮する外国人選手もたくさんいます。各球団とも、新規に契約した外国人選手の来日が遅れ、当初の見込みよりも大幅な戦力ダウンを懸念しています。ボーア獲得を再検討するチームも出てきそう」(前出・球界関係者)
ラモスの残留決定が遅れた理由だが、韓国球界では「トーキョー・ジャイアンツが獲得に動き、ラモスがLGツインズと天秤にかけた」とも報じられている。
この報道が事実ならば、移籍先がなかなか決まらなかった理由は巨人にあるとも言える。昨シーズンは同チームの左投手にずいぶん苦しめられたので、ボーアからは巨人への恨み節が聞こえてきそうだが…。なかなか来日できない新外国人選手の代わりとして、ボーアがNPB復帰のチャンスをつかんだら、それこそ巨人にとっては厄介な相手になるかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)