コロナ禍で追い詰められる引きこもり、オンライン面談にも問題点が…

 全国に100万人以上いると言われている引きこもり。2月25日、首相官邸で「孤独・孤立を防ぎ、不安に寄り添い、つながるための緊急フォーラム」が行われたが、今は国も自治体もコロナ対策が最優先。社会的な孤立を深める引きこもり問題の優先順位は当然低くなり、追い詰められた彼らの厳しい現状はますます見えにくくなっている。

 引きこもりたちをサポートする支援団体は全国各地にあるが、コロナ禍で以前と同じような活動を続けるのが難しくなっている。20年以上にわたって都内で引きこもりやその家族の支援活動を行っている一般社団法人トカネット代表の藤原宏美氏は次のように話す。

「私たちも昨年は活動を一時中断せざるを得ませんでした。しかし、彼らの中には私たちのような支援団体の交流会が唯一の居場所になっている人も少なくないんです」

 その後、こちらではZOOMを使った面談などを始めたそうだが、同じようにオンラインでのやりとりに変えた支援団体も多い。しかし、この方法にも大きな問題点がある。

 画面越しだとお互いの顔を見なければならいが、引きこもりの多くは人とのコミュニケーションがあまり得意ではない。常に相手の顔を見て話さなければならないし、同時に自分も相手からも見続けられることになる。そんな状況に耐えられず、オンライン対面を嫌がる人も少なくないそうだ。

「あと、それ以前に経済的な事情でパソコンやタブレット、スマートフォンを持っておらず、やりとりできる環境にない人もいるんです。実は、携帯電話すらない引きこもりは決して珍しくなく、持っていてもガラケーという方も多い。そうした人にとっては我々のような支援団体と繋がることが数少ない情報源になっているんです。つまり、コロナ禍で経済格差だけでなく情報格差も広がってしまっているのです」(前出・藤原氏)

 そんな中、3月28日に東京・新小岩で「中高年引きこもり支援団体合同説明会」(詳細は下記)が開催される。なかには就労支援を中心とした団体のブースも用意され、引きこもりの状態に応じた相談が可能になっているとか。また、当日はファイナンシャルプランナーや弁護士、心理カウンセラーなども参加予定だという。

 これまでも支援団体が単独で行う説明会は各地で行われていたが、複数の団体や専門家が集まる大規模なものは異例。だが、コロナ禍で大変な状況だからこそ、こうした手厚い支援の輪が必要なのかもしれない。

■「中高年引きこもり支援団体合同説明会」

3月28日(日)10:30〜16:00(入退場自由・無料)

新小岩地区センター4Fホール(東京都葛飾区新小岩2-17-1)

http://tokanet.info/blog/goudousoudankai2020/

※写真はイメージです

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