鹿児島県警察本部サイバー犯罪対策課の公式Twitterアカウントが2月10日に投稿した「ゲーム障害」についてのツイートに批判が殺到した。同アカウントは12日に当該ツイートを削除し、「不愉快な思いをされた方については誠に申し訳ありませんでした」と謝罪コメントを発表したものの、いまだ炎上の火がくすぶり続けている。
《スマホでゲームをする時間を自分でコントロールできますか?日常生活よりゲームを優先していませんか?社会生活に問題が生じているのにゲームを続けていませんか?それは『ゲーム障害』という精神疾患です。大切な人間関係、仕事、人生を失う前にゲームを止めましょう》
この、ゲームに依存気味の人に訴えかけるように警鐘を鳴らした鹿児島県警のツイートには《「精神疾患です」って…。警察が介入することか?医療関係者が言うならわかるけど》《日常生活よりゲームを優先しただけで障害認定は線引き緩すぎだろ》《ゲームも読書や映画鑑賞と同じ趣味のひとつ。趣味のゲームが日常に組み込まれてちゃダメなの?》《ゲームだけ悪者扱いしすぎ》と批判コメントが相次いだ。
日常生活に支障をきたすほどのゲーム依存については近年国際的な関心が高まっていて、2019年には世界保健機関(WHO)が国際疾病として正式に「ゲーム障害」を定めた。国内では昨年、香川県で「ネット・ゲーム依存症対策条例」が施行されたことが大きな話題となった。
今回の鹿児島県警の炎上ツイートに対する反応も、届いているのは批判ばかりではない。《WHOが精神疾患として認定してるんだし、間違ってることは言ってない》《強めに発信したのは良くなかったかもしれないけど謝罪する必要ないでしょ》《正論言うと叩かれてしまうんだな…》《酒にせよ何にせよ、依存は危険。ゲームは特に依存しやすい面があるから、こうやって注意喚起に取り上げられやすいのは仕方ないと思う》など、鹿児島県警を擁護する声も多い。
実際、「ゲーム障害」と診断される基準としては、鹿児島県警がツイート内でも挙げていたが、「ゲームの時間をコントロールできない」「日常生活よりもゲームを優先する」「生活に問題が生じてもゲームをやめられず、エスカレートする」といった症状が12カ月以上続く場合だとWHOは定めている。今回の炎上騒動が「ゲーム障害」への理解を深めるきっかけとなれば、鹿児島県警も浮かばれるだろう。「ゲーム=悪い」と短絡的に片付けるのではなく、「ゲーム障害」に陥ってしまった経緯やその背景を理解することにもっと目を向けるべきではないだろうか。
(浜野ふみ)
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