変異した新型コロナウイルスが各国で確認される事態を受け、政府は全世界からの外国人の新規入国を停止。そして首都圏はまたもや「緊急事態」に。必要以上に「コロナは怖い」とあおり立て、日本人を「コロナ脳」に仕立て上げた元凶に、小林よしのり氏が斬り込む。
小林氏はかねてから、新型コロナウイルスは「弱毒」で、なおかつ「インフルエンザのように子供を殺さない」にもかかわらず、必要以上にあおり続けるメディアによって国民が強迫神経症状態に陥っている、と指摘してきた。
「わしは常々、『コロナパニック』は専門家とメディアが作り上げた『インフォデミック(社会混乱)』であると批判してきたが、中でもあまりにも悪質、卑劣なのが『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)だろう。最近は出演することが少なくなったものの、『コロナの女王』こと岡田晴恵(白鴎大学教授)と玉川徹(テレビ朝日報道局員)は、データやファクトを示さず、死者数を無視し、増え続ける感染者数ばかりをクローズアップして連日、『コロナは怖い。コロナは怖い!』とあおり続けてきた。結果、パニックに陥った一部の国民が『緊急事態宣言を早く出せ』と声を上げ、そうした世論に引っ張られる形で、政府が緊急事態宣言を出してしまった。GoToキャンペーンの休止も全て同じ流れで、これはきわめて危険だと言わざるをえない」
確かにかつて同番組の中で岡田氏は「2週間後、東京はニューヨークのようになる。地獄になる」と断言し、玉川氏も「だからこそ、全国民が一律でPCR検査を実施すべきなんです」と主張。だが日本をはじめ、アジアでは欧米のような爆発的感染にはまだ至っておらず、またPCR検査についても日本と海外との検査法が異なること、自然免疫で死滅したウイルスが見つかっても、全て「陽性者」とカウントしていることなどから、感染者数の発表にも意味がないことは、「週刊アサヒ芸能」(1月14日号)で小林氏が説明したとおりだ。
「コロナ問題とともに連日『専門家』と呼ばれる人たちがテレビに出るようになったが、いつもスポットライトが当たる脳外科医やガン専門医など、いわば『切った張った』系の医師に比べ、感染症の専門家、あるいはウイルスの専門家はふだん、日が当たらなかった。だから悲しいかな、世の中から称賛されることも少なかったんです。それがコロナにより、ようやく自分の存在意義が認められた。つまり彼らにとって、今が我が世の春なのです」
とはいえ、番組によって専門家の意見が異なることも多く、視聴者としては、誰を信じたらいいのか迷うことも少なくない。
「テレビに出ている人たちはウイルスの研究者、感染症の専門家、あるいは医師などですが、彼らは皆、専門バカですからね。その一つ一つの分野だけを考えても、コロナの問題は解決できない。総合知がないとダメなんです。だから極端な意見に偏ることもあり、それが結果として恐怖をあおる要因になっています」
では、なぜ、ことさら恐怖をあおり続ける必要があるのか。
「答えは簡単。『新型コロナなんて大したことないですよ』と言ったら、もう二度とお呼びがかからなくなってしまうから。つまり、テレビには『あおらない専門家』は必要ないんです。だから、冷静に判断してコメントする人は呼ばれなくなってしまう。継続して呼ばれる専門家もそれがわかっているから、よりあおるようなコメントになっていく構図ができあがっていく。コメントするほうもするほうだけど、出演させるテレビ局の罪はさらに大きい」
その最たる番組が、指摘した「羽鳥慎一モーニングショー」なのだという。
「例えば『オオカミが来るぞ!』とあおって、やって来たのがチワワだったとする。すると『よかったじゃないか、チワワで』と‥‥。これがまかり通るなら、まさに言った者勝ち。そんなバカな倫理が通用するわけがない。なぜって、あんたたちがバカな大予言をしたことで経済が止まり、店が潰れ、みずから命を絶つ人間がいるんだからね。人が死ぬんですよ! 誰が殺したのか。それはコロナじゃなくて、バカな大予言を連発した連中です」
「羽鳥慎一モーニングショー」は、岡田氏と玉川氏のタッグにより視聴率をぐんぐん伸ばし、同時間帯のトップをキープしているが、
「最大の問題は、玉川氏の普通じゃないようなあおり方。それで個人視聴率を15%くらい取って、完全に味を占めてしまった。あおればあおるだけ視聴率が取れるはずだ、だからこれをずっと続けたい——で、トップを死守するために、その状態が続いているんです」
とはいえ、「感染者数は指数関数的に増える危険性があるから、緊急事態宣言を出せ」と主張し、「訴え続けることが、我々テレビに出ている者の使命」とする玉川氏に対しては昨今、ネットなどで批判が多いのも事実。
「さすがに、おかしいなと思っている人も増えているんじゃないのかな。でもステイホームで家にいる時間が長くなれば、必然的にテレビを見る時間が増える。で、テレビをつければ朝から『コロナは恐ろしい』とあおられ、コロナ脳再生装置ができあがってしまうんですね。だから今はまさに『コロナ脳ウイルス』がどんどん拡散されている状況。しかも何度も同じ話を聞かされるから、それがどんどん濃くなっていく。だから、なかなか洗脳が解けなくなっているんです」
それが事実ならば、まるでオウム真理教のマインドコントロール同様ではないか。
「オウムのサティアンの中に入って、ヘッドギアをつけさせられて『この世は地獄だぞ! 財産全部出せ!』とやられたら、脳がおかしくなってしまうでしょ。悲しいかな今、日本全部がサティアン化して、その中で日本人全員が洗脳されている状態なんです」
そうした洗脳による同調圧力で、自粛警察や飲食店への嫌がらせ、他県ナンバー狩りなどの差別やトラブルが生まれている、と小林氏は言う。喘息の持病がある小林氏にとっても、昨年は偏見の目にさらされた1年だった。
「わしのような喘息持ちにとって、まさに地獄の日々。特に冬になると、どうしてもセキが出てしまう。昨年11月頃からは、ちょっとセキをしただけで『お前、コロナじゃないのか』と言われ暴力を受けた、という話も聞いている。自閉症の人への差別もひどいようで、彼らはマスクができないからね。そんな状態が、春先からずっと続いている。セキをしただけで罵ったり暴力を振るうのなら、インフルエンザの時にも同じようにやらなくちゃいけないじゃないか。みんなでマスクして、自粛警察だ、と闊歩しなければならないはずだろう。でも、インフルではそれがない。それが『コロナ脳』に冒されている恐ろしさです」
そして、その「コロナ脳」が一部メディアにより、意図的に製造されているとしたら‥‥。事実であれば、その罪はあまりにも重い、と言わざるをえない。
そして今こそ、国民を「コロナ脳」の呪縛から解き放つ必要がある、と小林氏は力説する。
「わしはこれまで雑誌の連載で『インフォデミックは専門家とメディアが作り上げた』と書き続けてきたが、テレビでの洗脳の度合いがすごすぎて、なかなか太刀打ちできなかった。しかも、作家の泉美木蘭さんとのネット番組『オドレら正気か?』も、グーグルの判断で、ユーチューブにアップした動画が一方的に削除されてしまった。まったくバカげた話で、このままエスカレートすれば、言論の自由が消し去られてしまう。ゆえにわしは『コロナ論』を書いたというわけ。ハッキリ言って、現在この本は全国の書店で売れていて、ベストセラーに入っている。で、政治家の中に1人でもコロナ脳から解放された人がいて『総理、これを読んでください』となれば、状況は変わるかもしれない。メディアは本来、両論併記しなければならないのに、それすらできないのだから、もう絶望的だ。もはや本の力しかない。より多くの人がこの本を読んでコロナ脳を解除してほしい。そして『マスコミのバカヤロー!』という反乱分子がどんどん出てくれば、日本は変わるかもしれない。今はそれを待つしかない」
1月6日現在、新型コロナウイルスによる日本国内の死者は3834人。だが経済をズタズタにしたことで、今年は基礎疾患のある高齢者だけでなく、さまざまな人々にそのツケが回っていくことだろう。数年後、この騒ぎを振り返った時、我々は何を思うのか‥‥。
※「週刊アサヒ芸能」1月21日号より