4年60億円のエース待遇も?菅野智之「メジャー挑戦」でわかった本当の現地評

 8年間で通算101勝、最多勝3回、最優秀防御率4回と、誰もが認める日本球界のエース・菅野智之(31)が、ポスティングシステムを利用してMLB挑戦に踏み切ったが、2021年シーズンの移籍は断念する結果となった。

 ジャイアンツ、レッドソックス、ブルージェイズの3球団が菅野に興味を示していたとされるが、巨人サイドが3年間のオプトアウト(契約見直し)を含む4年契約を提示し、結局は年俸8億円(推定)の単年契約に落ち着いたようだ。

 来年以降も海外FA権を行使しての移籍が可能となるため、コロナ禍で動きが極端に遅く、大型契約が結ばれにくい今年の移籍市場を敬遠する選択肢も浮上。米スポーツ専門局ESPNも、今季は巨人残留の可能性を報じていたものだ。巨人番記者が言う。

「巨人フロントの本音は、現在の推定6億5000万円以上の年俸を支払いたくないし、FAよりも上限2000万ドルの譲渡金が手に入るポスティングで決まってほしい。報道された契約の提示は、菅野が確実にメジャーに行くことを見越しての『ポーズ』のようなものだとみていました」

 さらには、メジャーリーグ事情に精通するスポーツライターの友成那智氏もこう打ち明ける。

「菅野の代理人サイドが、『巨人が好条件を提示している』という情報を記者にリークしてメジャー球団との交渉材料にしようとした、ということも考えられます。現地に菅野本人が出向いたのは、合意直後のフィジカルチェックまで見越した行動。この段からメジャー移籍が流れるとは考えづらかった」

 水面下でギリギリの攻防が続いていたのだ。

「菅野は17年のWBCで、優勝したアメリカ代表を相手に6回1失点の好投を見せました。名伯楽と呼ばれる同チームのジム・リーランド監督が『メジャーで間違いなく通用する』と絶賛し、米国内での評価も当時から一貫して高い」(スポーツ紙デスク)

 友成氏も同様な見方で、こう評する。

「MLB公式サイトでも、今年のFA・移籍市場で菅野はレッズの20年サイ・ヤング賞右腕トレバー・バウアー(29)に次いで、先発投手としては2番目に高い評価でした。金額的には3年4000万ドルから4年6000万ドルだと。新型コロナでどの球団も収入減であることは確かですが、実は22年からMLBの放映権料が上がり、全球団が年間3000万ドル程度の収入増になることが決まっているため、契約を尻込みする理由はないに等しかった」

 日本円にして4年で約60億円でも、菅野をノドから手が出るほど欲しがっていたのが、ジャイアンツ。

「ジャイアンツには現在、防御率3点台の先発が1人もいません。菅野が加入すれば間違いなく『エース待遇』。拠点は日本人も暮らしやすいサンフランシスコで、ホームグラウンドのオラクル・パークはメジャーで最もホームランが出ない広い球場。メジャー屈指の捕手で、コロナ禍の昨季は家庭の事情でリーグ不参加だったバスター・ポージー(33)も戻り、内外野ともに守備に不安はない。菅野にとっていい条件がそろっていました」(友成氏)

 結局、交渉期限までに契約がまとまらず巨人残留となった菅野だが、はたして来季のメジャー移籍はあるのか…。

※「週刊アサヒ芸能」1月21日号より

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