いよいよ緊急事態宣言が発出され、経済活動への影響が懸念されるが、さらにポスト・コロナを見据えてもさらに深刻な事態に突入していきそうなのが、「出会い・結婚・出産」を巡る事情だ。
「厚労省が昨年末に発表した統計では、昨年1〜7月、つまりコロナとの共生を強いられたこの時期は、妊娠届の件数が前年比5.1%減で特に緊急事態宣言が出された翌月の5月にいたっては17.6%の減で、コロナは確実に日本社会の人口減少に拍車をかけているということがわかりました」(社会部記者)
もともと出生率の低下と少子高齢化の改善は日本社会の大きな課題だった。
「日本の出生率は70年代前半の第二次ベビーブーマーの年間200万人から右肩下がりで、2016年に100万人を切っても歯止めがかからず、2019年には過去最低となる86万人台に。出生率と人口統計の話では国立社会保障・人口問題研究所の統計を基にして語られることが多いですが、それによれば80万人を切るのは33年と予想されていたところが、2021年は早くもこれを下回るとの推計もあって、事実、これだけ明るい見通しが立たない状況を考えればかなり現実的な数字だと思います」(前出・社会部記者)
コロナは未来時計を12年も早めてしまうというのだから改めて脅威の度合いが知れる。
それはそうだろう。コロナで将来の見通しが立たないなかでは子どもを作る気にもなりにくい。
だから婚姻数も減っている。やはり厚労省の「人口動態統計速報」によれば2020年1〜10月の同時期、約42万4000件で前年から13%も減っている。
出生の前の結婚事情に関しては、そこに至るまでのプロセスも無視できない。緊急事態宣言下の自粛生活で家にいれば出会いもない。テレワーク要請で在宅率がアップすればますます拍車がかかるだろう。
新型コロナウイルスが人口動態へ及ぼす影響は計り知れない。
(猫間滋)