日本シリーズで屈辱の4タテを食らった巨人に暗雲が垂れこめている。メジャーへのポスティング移籍を目指していたエース菅野智之(31)は残留が決定的となったが、チーム内からは不協和音が漏れ伝わり、最下位転落の“緊急事態”を迎えているというのだ。
2年連続リーグ優勝なのに、精彩を欠く原巨人。周囲の「常勝チーム」の下馬評とは正反対の「最下位危機」の正念場を迎えているという。スポーツ紙デスクが惨状を語る。
「先発では、9勝で新人王候補まで躍り出た戸郷翔征(20)や8勝のサンチェス(31)までは勝ち星の上積みが期待できますが、3番手以降は、1軍半の投手ばかりで1年フルに戦えるか未知数。オフにDeNAから『ハマの宇宙人』こと井納翔一(34)を獲得しましたが、5〜6勝が関の山。そもそも来季35歳のベテランに中5日で投げられるスタミナがあるかどうか疑問です」
大エースの穴埋めを託されるロートル右腕同様、不安視されているのが、同じくDeNAから移籍してきた梶谷隆幸(32)だ。昨シーズン最後まで固定できなかったリードオフマンでの起用に期待がかかるが、
「昨年こそ安打数と打率でリーグ2位のキャリアハイを残しましたが、ケガの多い選手なだけに、推定2億円の年俸に見合う活躍ができるかどうか。ひとたびケガで離脱しようものなら、頑健な選手を好む原辰徳監督(62)にさっさと見放されかねません。それでも巨人としては、ライバル球団の主力を削ぎ落として御の字かもしれませんが、神里和毅(26)や細川成也(22)など代わりはいくらでもいる。むしろ、年俸コストをスリム化できて、球団幹部は巨人に感謝しているそうです」(球界関係者)
下がり目しかない選手をFAで高値づかみしつつも、球団は今オフを「育成元年」と位置づけている。その根幹を担う阿部慎之助2軍監督(41)は、大敗した試合後に罰走を命じるなど、その鬼軍曹ぶりを発揮。だが、昭和気質な阿部2軍監督に頼もしい援軍が送られてきた。野球評論家のデーブ大久保氏が解説する。
「巨人の打撃コーチや韓国プロ野球で監督経験のある金杞泰氏を2軍ヘッドコーチに招聘しました。スパルタ指導で有名な韓国球界からの加入で、若手選手は春季キャンプからカスカスになるまで絞られるでしょう。私の監督時代にキャンプ地が隣接していた韓国球団は、1軍の選手でも夜の9時過ぎまでノックや打撃練習を課されていましたからね」
とはいえ、球団内にはファームでの行きすぎた指導が、かえってV3を目指す原采配の足を引っ張るとの声も。
「昨今の精神的にモロい若手がついていけるかどうか。原監督は調子のいい若手を交代で起用する術に長けていましたが、2軍選手が疲弊して故障したら、そのシステムは破綻してしまう。しかも阿部2軍監督はまだ育成実績に乏しいため、今季契約最終年を迎える原監督の後継者としても懐疑的な声が出始めている」(前出・球界関係者)
チーム最下位となれば、「ポスト原」の禅譲にも影響を及ぼすというのだ。
ところ変わって、海を越えた大リーグでは、ヤンキースを自由契約になった田中将大(32)の去就に注目が集まる。「週刊アサヒ芸能」10月15日号で既報した凱旋復帰に向けて、楽天はすでに獲得に手応えがあるようだ。
「来季の優勝が至上命題の石井一久監督(47)は、まだ田中の獲得をあきらめていません。今オフの補強に金を惜しまない姿勢のメッツが2〜3番手候補で獲得に動いていると言われていますが、コロナウイルスの影響でメジャーのFA市場は鈍化。契約がまとまらない事態を前に、楽天は獲得するための資金をプールしているともっぱらですよ」(前出・スポーツ紙デスク)
前出のデーブ氏も田中の日本球界復帰を心待ちにする。
「ぜひ、将大には帰ってきてほしい。投球スタイルは、力ではなく技でかわすスタイルに変わっていますが、日本球界最高クラスの投手に変わりはありません。最低15勝は確実です」
田中とは裏腹に、泣く泣く帰国することになりそうなのがレイズの筒香嘉智(29)だ。
「来季は一塁手での起用が濃厚ですが、韓国人の崔志萬(29)のほうが序列は上。レフトには、リーグチャンピオンシップMVPのアロサレーナ(25)がいます。四球を選べるとはいえ、2割にも満たない低打率が改善されなければ、シーズン途中にリリースされて、ベイスターズの復帰話も浮上しています」(前出・スポーツ紙デスク)
21年は大物選手の日本復帰で盛り上がるかどうか。
※「週刊アサヒ芸能」1月14日号より