仕組まれた総裁選に大勝して総理に就任するや、「田舎の苦労人」を売りに、歴代3位の発足支持率を獲得。聞こえのいい政策を並べ、庶民の味方をアピールする。だがそれは、菅政権の表の顔。これから国民を待ち受けるのは、弱者を切り捨て、冷徹に搾取の限りを尽くす暗黒の世界なのだ。
菅義偉総理(71)率いる新政権の支持率が、世論調査で軒並み60%を超えている。いわく「安倍政権を陰で支えてきた寡黙な男」。いわく「秋田の農家のせがれがつかんだ総理の椅子」‥‥。高支持率の裏には総理就任後、テレビのワイドショーが連日のように垂れ流した「菅義偉物語」のアドバルーン効果もかいま見える。
だが、永田町や霞が関の奥の院関係者らが口にする菅義偉像は、ワイドショーが作り上げたイメージとは大きく異なっていた。事実、自民党反主流派の有力議員も開口一番、次のように指摘するのだ。
「菅さんは知る人ぞ知る、冷徹な策士。そして現在の高支持率がご祝儀相場にすぎず、このままでは化けの皮がはがれ、やがて前政権末期の低空飛行に近づいていくことを誰よりも痛感しているのが、菅さんだ。しかも、新型コロナ禍を唯一の口実として強行されたインチキ選挙で総裁に選ばれた手前、政権支持率の高い今のうちに解散・総選挙に打って出ることは、さすがの菅さんにもできない。ならば、どうするか‥‥」
そこで策士・菅総理がひねり出したのが、聞こえのいい「目玉政策」を次々と打ち出して国民を煙に巻く「目くらまし作戦」だったというのだ。この有力議員が続けて暴露する。
「中でも『携帯電話料金の値下げ』は目玉中の目玉政策。これに反対する国民はいないし、若者層の心もガッチリとつかめる。こうしておいて、早ければ年明け早々にも解散・総選挙に打って出て、最低でも総裁の残任期1年プラス新任期4年の安定政権に持ち込みたい、というのが菅さんの腹だ。だから今年の師走を迎える頃には、解散風が吹き始めるかもしれない。大みそか恒例の年越しお笑い番組風に警告すれば、『絶対にダマされてはいけないガースー(菅)政権』だ(苦笑)」
ではガースー政権にダマされてしまった場合、国民はどのようにケツをシバかれることになるのか。思い出してほしいのが、例のインチキ総裁選への出馬にあたり、菅総理が得意げに掲げた次のフレーズである。
「自助・共助・公助。この国づくりをやりたい」
安倍晋三前総理(66)時代に続き、またもや菅総理の軍門に下った岸田派の重鎮はこう吐き捨てる。
「実はこのキーワードには矢印が付いている。つまり、自助→共助→公助の順で国づくりを進めたいというのが菅総理のホンネだ。しかし、これは総理どころか、政治家としての存在意義をみずから放棄したに等しい危険な思想と言っていい。自助と共助ではダメだからこそ公助があり、全ての話は公助から始めなければならない。自助と共助に軸足を置いた自己責任論を国民に押しつけるだけなら、政治など必要ない」
この危険思想は小泉政権から安倍政権、そして菅政権へと受け継がれてきた地下水脈でもある。事実、菅総理も右のスローガンとともに「安倍政治を継承する」旨を公言。岸田派重鎮は、次のように断罪する。
「この危険思想を実現する具体的な計画が『スガノミクス』。安倍前総理にはそれでもどこか脇の甘いところがあり、アベノミクスには冷たいながらも赤い血が流れていた。ところが菅総理には人間味を感じさせるスキが見当たらず、『スガノミクスには冷たい緑色の血しか流れていない』と酷評されている。菅総理は小泉元総理や安倍前総理以上に『強い者はより強く、弱い者はより弱く』を信奉、実践する弱者切り捨ての確信犯だ」
スガノミクスの超目玉政策とされる「馬のツラにニンジン」の携帯電話料金値下げにしても、それをもって「安アパートに住みながらコンビニでアルバイト。楽しみはスマホだけ」という生活を余儀なくされている若者らの将来が好転するわけではない。むしろ小泉改革以来の格差はさらに拡大し、一生涯ビンボー生活から抜け出せないことになっていくだろう。