「外食産業のカレー業界はながらくココイチこと『カレーハウスCoCo壱番屋』の1強時代が続いていました。国内の店舗数はダントツの1262店舗(2020年2月末時点)。カレーの本場、インドへの進出も話題になりましたが、海外を含めれば1400店舗以上。コロナ禍がフランチャイズ店舗にどのような影響を及ぼすかは未知数ですが、ウーバーイーツを活用したデリバリーが堅調のようで、“ココイチ時代”はしばらく続くと見られています」(業界専門誌編集者)
そんななかで注目を集めるカレー専門店チェーンが、王者「ココイチ」を猛追する「100時間カレー」。7月29日には広報資料で店舗数が107に到達し、「カレー専門店業界」で2位に躍り出たことを発表。その後、8月28日には千葉県のショッピングセンター「ニッケコルトンプラザ」に新たな店舗を立ち上げている。
「カレー業界で2位につけていたのが、黄色の外装とゴリラのキャラクターでおなじみの『ゴーゴーカレー』で約70店舗。濃厚なルーがウリの金沢カレーを一躍全国区にしました。『100時間カレー』が開業から7年ほどで“ナンバー2”の『ゴーゴーカレー』を抜き去ったのですから、業界内では大きなニュースとなったのです」(前出・編集者)
1位の「ココイチ」が約1200店舗。店舗数で2位以下の専門店チェーンがシノギを削っているのがカレー業界の現状のようだ。だが、「ゴーゴーカレー」に比べて、街中で「100時間カレー」を見る機会は少ない。一度も見たことがないという人も多いのではないのだろうか。そこに大きなカラクリがあるという。
「広報資料にもありますが、107店舗という数字はあくまでデリバリー専門店を含めた数字。イートインでは20店舗台にとどまっています。とはいえ、やはり店名のインパクトはバツグン。その名のとおり、製作工程に100時間かけた欧州カレーのルウはリピーターも多いようで、デリバリーとの相性もいい。実店舗はまだ少ないものの、居酒屋チェーン『養老乃瀧』とのコラボ企画でオリジナルの100時間カレーを提供するなどの“間借り商法”も好評のようで、レトルトカレーの通販にも力を入れています。店舗数では『ココイチ』の10分の1以下ですが、このコロナ禍を逆手にとった戦略で、その名が全国区になるまでそれほど時間はかからないでしょう」(前出・編集者)
カレーの料金は店舗によって異なるが、「ココイチ」と同様に、トッピングメニューは充実。都内の店舗で実食したところ、季節の野菜、チキンカツ、ゆで卵が乗った「スペシャルカレー」は税込で1090円だった。たまに外で味わうぜいたくなカレー。選択肢のひとつとしては悪くないかもしれない。