「巨人で複数の選手が新型コロナに感染した疑い」とのニュースが世に出たのは6月3日のこと。開幕前のことだからよかったものの、果たしてシーズン中に同様の事態が発生したらどうなるのか。
球界を大揺れにした巨人の「コロナ騒動」だが、これにて一件落着とはいきそうにない。まず、巨人が発表した「微陽性」という聞き慣れない言葉だ。西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏が解説する。
「数十年間、医学の世界に身を置いていますが、初めて耳にした言葉です。開幕を目前にして、プロ野球選手から『陽性が出た』となると世間からの反発を生むかもしれません。なので、陽性という言葉をソフトな表現にするために命名された言葉なのでしょう」
巨人はオープン戦の無観客開催や他の球団に先立ってチーム練習を再開するなど、開幕に向けて球界を牽引してきた。それだけに「開幕延期」という最悪の事態だけは、どうしても避けたかった感がうかがえる。
「『微陽性』という表現もそうですが、2人の陽性が発覚してから夕方の会見までの半日、NPBの専門家チームを巻き込んで事態の矮小化を図ったと思われます。ただ今回、巨人はコロナ検査のノウハウを得ることができた。今後はそうした情報を他球団に周知することで、球界の主導権を握ることもできる。ピンチをチャンスに変えるあたりは、さすが球界の盟主」(セ関係者)
さらに問題視されているのが、開幕後、仮に選手が感染した場合の「コロナルール」だ。
「NPBは当初『感染者の陰性が確認されてから14日間は自宅待機』にすることを検討していましたが、6月5日時点でまだガイドラインは発表されていません。もしこのとおりなら、坂本も大城も陰性になったとはいえ、2週間の自宅待機で開幕出場はギリギリですからね。シロでもクロでもない『微陽性』というグレーな状況をどう盛り込んでいくのか。パ・リーグのある選手は『早くルールを決めてほしい。ファジーすぎる』とボヤいていた」(スポーツ紙記者)
すでに開幕している台湾のプロ野球界は「一人でも感染者が出れば中止」という厳しいルールの下で行われている。
「なんとかシーズンをやり遂げたい日本のプロ野球は『選手5人以上の感染者が出たら中止』とする韓国球界のルールを踏襲する方向だと思います」(球界関係者)
選手たちは試合中に限らず、厳しい戦いを強いられることになりそうだ。