「100勝達成」で気になる藤田菜七子の年収は?「調教師や馬主に電話で営業」

 テニスの大坂なおみが「世界で最も稼ぐ女性アスリート」としてアメリカのメディアに取り上げられた。年収40億円(推定、以下同)の大坂には及ばないものの、日本国内には稼ぎまくっている女性アスリートがゴロゴロいる。2位にはゴルフ界のスマイルシンデレラ・渋野日向子がランクインしたが、競馬界の藤田菜七子騎手のランキングは?

 3位のアスリートを輩出したのは、近年、五輪の金メダル常連の中国と競り合うまでにレベルアップした卓球界。稼ぎの面でも右肩上がりだ。

「18年にプロアマ併存のTリーグが発足しました。これまで日本卓球リーグ所属選手は企業の社員なので平均年収は推定500万円でしたが、Tリーグ所属のプロ選手の平均年俸は1500万円。チームによって出場給100万円、勝利給30万円が用意されています」(スポーツ紙記者)

 東京五輪シングルス代表に選出され、世界ランキング2位の伊藤美誠(19)と9位の石川佳純(27)を比べると、トータルでは石川がリードしているという。

「伊藤はTリーグの参戦を見送ったことにもよりますが、石川は五輪での実績も十分で、スポンサー数は伊藤より上。推定1億2000万円は稼いでいると思われます。この先、伊藤が世界最高峰の中国超級リーグに出れば、年俸は逆転するでしょう。かつて参戦した福原愛(31)は数億円稼いだと言われています。それでも、中国卓球関係者の間では、参戦させれば伊藤は中国により危険な存在になるので、呼ばないほうがいいという話もあり、未知数です」(スポーツ紙記者)

 石川と並んで3位に選ばれたのは、スキージャンプの高梨沙羅(23)。マイナー競技ながら大健闘しているが、これまでの実績が数字につながった好例と言える。スポーツライターはこう話す。

「13年-14年シーズンに18戦15勝の無双状態でも獲得賞金は約675万円にすぎない。男子選手より優勝賞金は低く、トップ選手以外は別の仕事をしながら大会に参加しています。高梨は試合で勝てないことも増えましたが、人気は健在。スポンサー12社と契約しているので、番付上位に食い込みました」

 競馬界を見渡せば、女性騎手初の100勝を達成した藤田菜七子(22)は堂々の番付5位。騎手の基本的な収入は、獲得賞金の5%(進上金)、レースによって金額が変わる騎乗手当、1出走で一律1万6000円の騎手奨励手当に分かれる。その他に調教手当や、藤田のように厩舎に所属すれば業務を手伝うので、給料がもらえるのだ。

「昨年の藤田の年収は6000万円ほど。騎手の平均年収は4000万円と言われているので、順調にステップアップしています。実力馬の騎乗依頼を増やすため、自分で調教師や馬主に電話をかけたり、忘年会や新年会にマメに顔を出して営業していました」(競馬ライター)

 今年から新エージェント(騎乗依頼仲介者)を付けた藤田。激しい追い込みで億超えなるか。

 競馬に続くのは競艇だ。昨年、美女ボートレーサーの大山千広(24)が史上最年少で賞金女王(5683万円)に輝き、注目を集めるボートレース。性別関係なく出場でき、実力があれば高収入を稼げることを証明した。

「4つの階級に分けられ、勝率をもとに半年に一度入れ替えます。平均年収は1600万円。賞金の他にも手当が充実し、ナイター手当や完走手当などが出たり、長年レーサーを務めれば年金や退職金ももらえます。ただ、フライングしたら30日間の出場停止。2回目で合計90日間の出場停止と増えていき、その間は無収入。なので、アルバイトをするレーサーもいます」(スポーツ紙デスク)

 他方、日本から米国に進出すれば10倍以上稼げるのがプロレス界だ。5月10日に世界最高峰のWWEで全タイトル制覇の偉業を達成したアスカ(38)は、長者番付にも名を連ねる。格闘技ライターがこう説明する。

「日本の女子プロレスの環境は厳しく、寮生活で家賃や水道光熱費はかかりませんが、練習生からデビューするまで月10万円もらえればマシなほう。トップ戦線で活躍するようになっても、月給20万円台でしょう。それでも、WWEに移籍すれば年収は一気にアップ。アスカは推定4000万円ですが、今年は1億円に届くとみられています」

 コロナの影響でWWEは大量解雇を発表したが、日本人選手のレベルは総じて高く、海外から引き抜きの噂が絶えないほど。

 氷上のアーティストもリンクを降りれば、シビアな現実が待っている。フィギュアスケートでトップを目指そうと思えば、コーチ代、振付師代、衣装代、移動費など莫大な経費がかかる。

「世界選手権で優勝しても賞金は約500万円で、日本スケート連盟の強化費は月20万円ほど。世界トップクラスの紀平梨花(17)もスポンサーからの収入がほとんどです。実績を残してプロに転向すればアイスショーで稼げるようになり、トリノ五輪で金メダルを獲得した荒川静香(38)は、ギャラ1億円とも言われてました」(スポーツライター)

 男子と雲泥の差があるのがサッカーと野球だろう。

「日本女子サッカーリーグの平均年俸は400万円。なでしこジャパンの熊谷紗希(29)はフランスのリヨンに所属し、欧州の頂点を決めるUEFA女子チャンピオンズリーグの優勝に貢献していますが、推定年俸は2000万円ほど。男子と桁が2つ違います」(サッカーライター)

 この現状に女子アメリカ代表選手の不満が爆発し、男子と平等な賃金を求めて提訴。が、主張は認められず、5月に訴えは棄却された。女子プロ野球は、もっと厳しい状況に追い込まれている。

「今年で11年目のシーズンを迎えた女子プロ野球リーグは、これまで高卒選手で年俸320万円以上、大卒選手で年俸368万円以上。安打製造機の京都フローラ・三浦伊織外野手(28)のように活躍すれば、推定年俸1000万円は稼いでいたのですが、19年11月にリーグ所属選手71人のうち36人の退団が発表されました。年収が大幅減の報道もあり、もはや今後の存続すら危ぶまれています」(スポーツ紙記者)

 2位から10位にランクインした選手の年収を足しても、トップ・大阪なおみの40億円には届かず…。しばらくは彼女の“一強時代”が続きそうだ。

■最新版女性アスリート長者番付

1位:大坂なおみ(テニス)40億円/2位:渋野日向子(ゴルフ)4億3000万円/3位:石川佳純(卓球)1億2000万円/3位:高梨沙羅(スキージャンプ)1億2000万円/5位:藤田菜七子(競馬)6000万円/6位:大山千広(競艇)5600万円/7位:アスカ(プロレスラー・WWE)4000万円/8位:紀平梨花(フィギュアスケート)3000万円/9位:熊谷紗希(サッカー・海外組)2000万円/10位:三浦伊織(プロ野球)1000万円

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