「ナムアミダブツ!ナムアミダブツ!ナムアミダブツ!ナムアミダブツ!先頭はナムアミダブツ!今1着でゴールイン!勝ったのはナムアミダブツ〜〜〜!」
5月3日の福島競馬場ではこんな“迷実況”が生まれたかもしれない。この日、第6レースの「3歳未勝利戦」で初勝利を飾ったのはナムアムダブツ号。単勝7番人気ながら、良血馬の意地を見せつける結果となった。
「ナムアムダブツの父はオルフェーブル。史上7頭目となる牡馬クラシック3冠を達成し、ラストランとなった2013年の有馬記念でも1着となり、ファンに強烈な印象を残しました。また、母方の父が凱旋門賞を制したトニービンという良血馬でありながら、このナムアムダブツはそれまで4戦して一度も馬券にからんでいませんでした。初勝利を飾ったからよかったものの、このレースでも見せ場なく終われば、競走馬としてお陀仏な扱いになりかねない“緊急事態”だっただけに一安心ですよ」(競馬ファン)
競争馬に「南無阿弥陀仏」とはなんとも縁起が悪い気もするが、じつは馬名の由来は、念仏とは無関係のようで……。
「ナムアムダブツ号を所有する企業は、ユニークな名前をつけることで、ファンの間で知られています。過去にはスカートフワリなんていう馬もいましたから。ただ、オーナーがよほどの音楽好きなのか、有名な曲をそのまま馬名にあてがうことが多いようです。アメリカのテキサス出身のバンド『At the Drive-In』の曲からはワンアームドシザー(「One Armed Scissor」)、アークアーセナル(「Arcarsenal」)といった具合です。このナムアミダブツも、2019年に再結成したバンド『NUMBER GIRL』が2002年に発表したシングル『NUM-AMI-DABUTZ(ナムアミダブツ)』が由来と言われています」(競馬誌ライター)
過去にはターフで脅威の粘りを見せた「モチ」、逃げまくる「オマワリサン」といった珍名馬が話題になった競馬界。だが、ユニークなのはナムアミダブツ号だけではなかった。
「ヨクジョウ、ウフフ、トクベツノカンケイ、カイアワセといった馬を所有する医療法人の理事長は、とにかく遊び心にあふれた馬名をつけることで有名ですね。なかでも注目はオトナノジジョウ(牝馬)。普通に読んだら“大人の事情”ですが、これまで10戦して2勝という成績を残しています。直近では今年1月5日の中山で第12競走に出走。鞍上は、先日に通算100勝を達成した藤田菜七子騎手でしたが、16頭中16位と最下位と結果を残せませんでした。馬名はともかく、藤田騎手の注目度はバツグンですから。『藤田騎手、“大人の事情”で最下位』なんて実況が聞けたかもしれませんね」(前出・競馬誌ライター)
バヌシノジジョウで珍名をつけられた競争馬には、今後もナムアミダブツのような激走を期待したい。
(渡辺俊哉)