今年の「日本ダービー」は終わったばかりだが、いよいよ来年のダービーに向けての熱い戦いが開幕した。「新種牡馬」の登録産駒数の1位はドゥラメンテ、2位はモーリスだが、はたして、次世代を担う種牡馬に名乗りを上げるのは、どっちだ。
産駒が今年デビュー予定の新種牡馬は30頭で、その登録産駒数は1421頭にも上る。現2歳世代における占有率は19.7%となり、91年以降では最高値なのだ。
長年にわたって功績を残してきたディープインパクトとキングカメハメハが亡き今、次世代を担う新種牡馬への期待は大きく、国枝栄調教師も「例年にも増してカギを握るのは新種牡馬の産駒」と語っているほど。
中でも注目は「社台スタリオン」に繋養されているドゥラメンテとモーリスの2頭だろう。血統評論家の加藤栄氏が解説する。
「モーリスの魅力の一つは、母系にメジロの血が流れていること。そのため、産駒は頑強でたくましいでしょう。無敗で牝馬2冠に輝いたデアリングタクトのような馬を出す気がします。ドゥラメンテは、ルーラーシップと血統背景が似ていますが、サンデーの血が入っている分、産駒はルーラーシップの仔よりもスパッと切れる。仕上がりも早いので、暮れの2歳GⅠが狙えそうですね」
登録産駒数は、ドゥラメンテ189頭、モーリスが176頭と他を圧倒しており、繁殖牝馬の質もかなり高いという。スポーツ紙記者があとを引き取って、「特にモーリスにはジェンティルドンナ、シンハライト、シーザリオ、ブエナビスタといったチャンピオン級の繁殖牝馬をつけています。こうしたラインナップでもわかるように、モーリスに寄せる社台の期待の大きさは、なみなみならぬものがあります」
この4頭との仔に共通するのは、サンデーサイレンス4×3の配合であること。競馬の世界では4×3の配合パターンは「奇跡の血量」と言われており、それを意識して交配したことは確かだろう。
「モーリスは吉田勝己氏(ノーザンファーム代表)がトレーニングセールで見いだした馬ということもあって思い入れが強く、なんとしても成功させたいでしょうね。スクリーンヒーローを父に持つ貴重なロベルト系の種牡馬で、幸い産駒は骨格がしっかりしていて、筋肉のつきもいいと好評です。それに、仕上がりが早い。今週末は5つの新馬戦が組まれていますが、6頭がデビューする予定。その中にはブエナビスタの仔、ブエナベントゥーラ(牡、堀厩舎)もいます」(前出・スポーツ紙記者)
12冠ベビーの“初陣”はいかに!?