新馬戦スタート!最高級の良血馬ドゥラメンテ産駒の実力

 登録産駒数189頭でトップの新種牡馬ドゥラメンテは、日本競馬の粋を集めた最高級の良血馬。母系は4代に至るまでGⅠ馬で、そこには社台ブランドの血が脈々と流れている。

 競馬ライターの兜志郎氏が次のように期待する。

「初年度から過去に例を見ないほど多くの繁殖牝馬を集めていて、産まれてきた仔の評判もいい。なにしろセレクトセールでは、当歳馬に1億の値がつくほど。産駒は総じてスラッとした体型をしていて、スピードに富んでいる。気が強い馬が多く、それが勝負根性につながれば楽しみです」

 ドゥラメンテ産駒は4月24日に地方でデビューした浦和所属のトーセンウォーリア(牡、小久保厩舎)が圧勝したように、ダートでも問題なさそうだ。

「ただ、難点はキングカメハメハとサンデーサイレンス(母父)の血統なので、交配相手が限定されること。国内では両種牡馬の血を引く馬が非常に多いため、種付けをする相手は輸入牝馬が多くなっています」(兜氏)

 例えば、夏にデビュー予定のテネラメンテ(牝、木村厩舎)の母は(外)スターアイルといった具合だが、血統評論家の加藤栄氏が言うように仕上がりは早く、土日でセイウンブリスク(牡、手塚厩舎)とアスコルターレ(牡、西村厩舎)が出走予定となっている。

「セイウンブリスクが出走する6日の東京5R(芝1600メートル)には、ブエナベントゥーラも出てきますから、いきなりドゥラメンテ産駒とモーリス産駒が激突することになります。同じように、アスコルターレが出走する翌7日の阪神5R(芝1400メートル)にもモーリス産駒のカスティーリャ(牡、橋口厩舎)が出走する。今年の新種牡馬争いを占う重要な2戦になりそうで、今からワクワクします」(スポーツ紙記者)

 この他、エピファネイアの初年度産駒デアリングタクトが牝馬2冠を達成したことで、半弟リオンディーズ産駒への注目度もガゼン、高まっているという。

「GⅠ実績は朝日杯FSのみですが、名牝シーザリオの仔という血統背景もあって、多くの牝馬を集めることに成功。繋養先は日高のブリーダーズスタリオンながら、社台系の牝馬との交配も多い。産駒は動きがよく、乗り味がいいと評判です。自身が2歳GⅠを制したように仕上がりも早いだろうし、キンカメ産駒なのでダートでの活躍も見込める。リーディングの上位に食い込む可能性は十分あります」(兜氏)

 夏にデビュー予定のヴェールクレール(牡、高橋亮厩舎)は、近親にディープインパクトがいる期待馬。躍動感のある走りをしており、新馬勝ちが望める評判馬だ。

 史上最高の内国産種牡馬ディープインパクトからは4頭の種牡馬がデビュー。中でも注目は、エイシンヒカリとミッキーアイルで、「この2頭は抜群のスピードを武器に逃げ切るというレーススタイルで、キャラが似通っています。違いはエイシンが2000メートルまでこなせたのに対して、ミッキーは1600メートルまでだったことでしょう」(スポーツ紙記者)

 それを象徴するように、6月にデビューする両馬の産駒は使う距離が異なっている。

 エイシンヒカリ産駒のシャイニングライト(牡、武井厩舎)は東京芝1800メートル、ミッキーアイル産駒のトレジャーアイル(牡、宮田厩舎)は東京芝1400メートルでデビュー予定だ。

 一方、ダート部門は、アジアエクスプレス、ホッコータルマエ、ディスクリートキャットの三つ巴の戦いになりそうな気配。

「アジアエクスプレスは芝の朝日杯FSも勝っていますが、へニーヒューズ産駒ということを考えれば、やはりダートがメインになるでしょう。産駒のジュンゼロ(牡、高柳厩舎)が東京ダート1400メートルでデビューする予定です。500キロ台の大型馬にふさわしく、パワフルな走りを見せています」(スポーツ紙記者)

 GⅠ10勝を誇るホッコータルマエは、近年最強クラスのダート馬。7歳まで活躍したように、産駒も早枯れすることなく末永く活躍しそうで、米国産馬ディスクリートキャットは、デビュー6連勝を果たしたストームキャット系種牡馬だ。

「ホッコータルマエ産駒のエナジーロッソ(牝、高柳厩舎)は、母父にサクラバクシンオーを持つように、短距離での活躍が望めそう。ディスクリートキャットは17歳とやや高齢での日本導入ですが、持ち込み馬エアハリファ(根岸S)やキズマなどの活躍もある。マイラータイプで、2000メートル以上は向かないと思います」(兜氏)

 4月29日の門別でディスクリートキャット産駒のメイストーム(牡、佐々木厩舎)が新馬戦(ダ1000メートル)で勝利しており、関係者の期待も大きい。

 そんな中、前出の加藤氏が注目するのはダノンレジェンドだ。GⅠ・JBCスプリントを含む中央・地方でダート重賞を9勝した快速馬である。

「父マッチョウノは米2歳チャンピオン馬になった名馬で、産駒としてはダノンレジェンドが日本で初めての後継種牡馬。配合相手を選ばない血統構成をしているので、サンデーの仔だろうが、キンカメの仔だろうが、何でもつけられるのが強みですね。アベレージヒッターではなく、1頭か2頭、ホームランを放つタイプとみています。そういう仔はぜひ、米ケンタッキーダービーに出てほしい」

 こちらも同産駒のリターンギフト(牝、田中厩舎)が5月5日の門別で初勝利をあげており、中央での勝ち馬を出すのも、そう遠くはなさそうだ。

 近3年は、開幕週の新馬戦の勝ち馬から4頭のGⅠ馬(ステルヴィオ、ケイアイノーテック、グランアレグリア、サリオス)が誕生しているだけに、特に注目してみたい。

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