外出自粛要請が出ている中での「賭け麻雀」報道を受け「訓告」処分が命じられた黒川弘務前東京高検検事長。その処分の甘さには野党からだけでなく、ネット上でも適正な処分を求める声が多くあがり、様々な影響をもたらしている。
5月30日、「第1回検察庁前テンピン麻雀大会 黒川杯」が開催された。この「黒川杯」は黒川氏が用いていた1000点=100円に換算するというレート「テンピン」での賭け麻雀を検察庁前で公然と実施するというもの。「テンピン」での賭け麻雀は「黒川基準」と呼ばれ、黒川氏が「セーフ」なのだから、「黒川基準」であれば、この「黒川杯」も問題ないだろうという強烈過ぎる皮肉を込めた麻雀大会である。当日、検察庁付近の日比谷公園で大勢の警察官に囲まれながらも実施された「黒川杯」は公園の閉園時間により賭けが成立する前に終了となってしまったが、この開催は大きな話題となった。
一方で、永田町だけなくネット上でも“麻雀旋風”が吹き荒れている。
「年々雀荘の件数は減少していて、人気は下火と思われている麻雀ですが、楽しんでいるのは黒川氏だけではありません。現在巷では第三次麻雀ブームが本格的にくると言われるほど、麻雀の面白さが見直され、関連するアプリやゲーム人口は増加しています」(麻雀ライター)
第三次麻雀ブームを先導しているのは昨年4月に世界同時リリースされた「雀魂(じゃんたま)」というオンライン麻雀対戦ゲームだ。これまでもオンライン麻雀はアプリやWEBサイトなどで既存のユーザーに親しまれてきたが、「雀魂」は今まで麻雀をしたことのない麻雀初心者層の開拓に成功し人気を博している。
「雀魂はチュートリアルがかなり親切で、“ルールを覚えるのはおっくうだけど麻雀が気になる”という新規ユーザーを続々獲得しています。登場する萌えキャラたちが麻雀中もフルボイスで麻雀を盛り上げてくれ、プレイ中のど派手な演出などゲーム的要素も新規ユーザーの獲得につながっています。ステータスや牌歴も見やすい仕様なので麻雀力を高めたい既存ユーザーの練習にももってこいです」(前出・麻雀ライター)
さらに雀魂の人気は、CGを用いたバーチャルYouTuberこと「Vtuber」の介入により拍車をかけている。「Vtuber」による初心者向け麻雀講座動画は1ヵ月で10万再生を超え、「Vtuber」同士の大会やそれらの実況配信は「Vtuber」ファンも麻雀ユーザーも楽しめる新たな市場として注目されている。
さらに今回の「黒川麻雀事件」を受け麻雀に興味を示す若者が続出、「麻雀」が急上昇検索ワードになるなど麻雀旋風は加速している。
黒川氏が“3密”のリスクと失職のリスクをおかしてまで楽しんだ麻雀。麻雀界は賭博のイメージを払拭し、クリーンな娯楽として第三次ブームを牽引することができるだろうか。
(浜野ふみ)