「2年ほど前に中国で丸パクリした店があると話題になりましたが、それだけ画期的なラーメン店だったということ。もともとは味に集中するための作りでしたが、今回のコロナ禍にあって、客と客の“密接”を避ける効果が注目され、ラーメン業界でもその動向が注目されています」
ラーメン業界に詳しいグルメライターが語るのは現在83店舗を展開するラーメンチェーンの「一蘭」だ。ファンにはおなじみかもしれないが、1席ずつ仕切られた「味集中カウンター」で隣の客を気にせずにラーメンが食べられるとあって、女性客にも人気のチェーンとなっている。
そのカウンターの形状から「コロナに強い」と評判の「一蘭」。都内某所、近所にある店舗をネットで調べてみると、このステイホーム週間でも営業を続けている模様。なるべく「密」を避けるために、11時のオープンから間もなくして入店してみた。
入り口には、アルコール消毒液が置かれ、店内アナウンスによれば、全従業員が最低1時間に1回以上の手洗いと消毒を義務づけているという。券売機で食券を購入後、「味集中カウンター」へと向かう。仕切り板があるにもかかわらず、さらにその間隔を1席ずつ空ける旨の説明書きが目につく。
店内にいる客はわずか3名ほど。かつて繁華街にある店舗で外国人観光客が大行列を作っているのを見たことがあるせいか、寂しい気もするが、このチェーンでは麺の固さや味の濃さ、ニンニクの量にいたるまで、細かいオーダーを紙に記入して暖簾越しにスタッフへと渡すシステムのため、飛沫感染のリスクを最小限におさえているのがわかる。
ラーメンが運ばれるまで、一言も発する必要がなかった。
「もともと1席ずつ仕切られているうえに、従業員にマスク着用を義務付けるなど、徹底したコロナ対策は、実際に店に足を運ばないとわからないかもしれません。個人営業にしろチェーンにしろ、他のラーメン店が大苦戦を強いられているなか、『一蘭』は客が安心して食べられる環境作りに尽力していると言えます。他のラーメン店もアクリル板などを使って、臨時的にもあの作りをマネしたいところですが、あの独特の店舗システムは特許で権利が守られているという情報もあって、なかなか決断しづらいのかもしれませんね」(前出・グルメライター)
今回の覆面調査において、人との“非接触”をキープしたまま食した「一蘭」のラーメン。新型コロナのことなど気にせず、”全集中“して麺をすすれる日が来ることを願ってやまない。
(編集部)