Netflix、各国の要請で停止したコンテンツ数“9”に高評価の理由

 2月9日、動画配信サービスの米ネットフリックスが、レポート「Environmental Social Governance」を発表し、これまで公にしてこなかった世界各国の政府などから要請を受け配信を停止した作品を明らかにした。同社がサービスを開始して以来、要請により配信停止した作品は9本だったといい、ネット上では驚きの声が広がっている。

「ネットフリックスは、昨年1月コメディ番組『ハサン・ミンハジ 愛国者として物申す』の第2回が、サウジアラビア皇太子ムハンマド・ビン・サルマンに対する批判と見なされ、反サイバー犯罪法の第6条に違反するとの指摘を受けサウジアラビア国内での放送が禁止されました。これには『言論統制ではないか』との声が上がっており、物議を醸していたのです」(ITジャーナリスト)

 なお、同社は当時、「ハサン・ミンハジ」をサウジで非公開にしたことについて、「現地の法律を遵守するために当該エピソードを削除した」と説明。権力に屈し情報統制に手を貸したわけではないことを強調したが、「他にも各国政府などからの要請で削除された作品が数多くあるのではないか」という懸念が広まっていた。

「その懸念を払拭するために今回のレポートが発表されたとみられていますが、『ハサン・ミンハジ』以外にも映画『フルメタル・ジャケット』をベトナムで、同『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』をドイツで、同『最後の誘惑』をシンガポールで削除するなど、計9作品が各国で配信停止になっていることが判明しました。ただ、同社がストリーミング配信サービスをスタートさせたのが2007年ですから、約13年間で9作品というのは非常に少ないとみていいでしょう。ネットフリックスはオリジナルドラマ『全裸監督』のようなかなり攻めた内容の作品も配信していますが、ガバナンスはしっかりしているという印象を受けました」(前出・ITジャーナリスト)

 今回のレポートに対してはネット上でも《法律違反になるなら削除も仕方ないだろうけど、社内の基準がしっかりしているせいか「えっ、これだけ」と思える少なさ》《ネットフリックスの良さは地上波では観られない作品も放送するところ。これからも負けずに頑張ってほしい》《言論統制が厳しいといわれるサウジでネットフリックスが観られることにむしろ驚いた》《要請があったものを何でもかんでも削除しているわけではなさそう》など、評価する声が多く見られた。

 今後も権力には屈せず多くの魅力的なコンテンツを作ってもらいたいものだ。
 
 (小林洋三)

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