中国が虎視眈々…イスラエルとイランの軍事衝突が導火線になる「台湾有事」

 6月13日、イスラエルがイランに対して大規模な空爆を実施して以来、中東情勢は一気に緊迫の度を増している。イランの核施設や軍事拠点が標的となり、報復としてイランが数百発の弾道ミサイルで反撃するなど、両国間の軍事的応酬は止まる気配を見せない。この衝突は、長年続いてきた代理戦争から一歩進み、直接対決の様相を帯びつつある。国際社会は息を呑む中、事態がさらにエスカレートすれば、第三次世界大戦へと発展する危険性が指摘されている。

 イスラエルは米国との強い同盟関係に支えられており、今回の攻撃でも米軍がミサイル迎撃を支援した。しかし、イラン側はこれを強く非難し、米国がさらに深く関与すれば、UAEやバーレーンに点在する米軍基地を攻撃対象にすると警告している。バーレーンには米第5艦隊の本拠地があり、UAEも戦略的な軍事拠点として機能している。これらの基地がイランのミサイルやドローン攻撃で壊滅すれば、米国は黙っていないだろう。報復としてイランへの大規模軍事介入が始まれば、中東全域が戦場と化し、他の地域大国や同盟国が巻き込まれる可能性は高い。

 専門家は、ホルムズ海峡の封鎖がこの危機を加速させる要因になると警鐘を鳴らす。イランが海峡を閉鎖すれば、グローバルな原油供給の約20%が途絶え、経済的パニックが世界を襲う。エネルギー依存度の高い日本や欧州諸国は打撃を受け、国際社会の緊張は極限まで高まる。イランはこれを最後の切り札と位置づけており、米国の軍事行動が引き金となるシナリオが現実味を帯びてきた。

 懸念されるのは、ロシアや中国の動向だ。イランはこれらの国と軍事・経済的な結びつきを強めており、米国との対立が拡大すれば、中国やロシアがイランを支援する可能性がある。ロシアのシリア介入や中国のエネルギー需要を考えれば、中東戦争がグローバルな紛争に発展するリスクは無視できない。第三次世界大戦の影が忍び寄る中、米国の外交努力が試されているが、現在の状況では軍事衝突を回避できる時間は残り少ないかもしれない。

 そして、我々が最も深刻に受け止めるべきは、台湾有事への影響である。仮に、中東で米軍が関与する形で戦争がエスカレートすれば、それによって台湾有事に費やせる時間や余力が削減される。これを中国が絶好の機会と捉え、台湾へに軍事侵攻を決断するリスクが高まるだろう。

(北島豊)

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