ロッテ鈴木大地がFA宣言で言えなかった選手会長としてのホンネ

 伝えられている情報と、本人の心中は異なるようだ。

 千葉ロッテの鈴木大地内野手がFA権を行使した。「移籍前提ではない」と言うものの、現職の選手会長による「他球団の評価も聞いてみたい」という発言はチームに大きな衝撃をもたらした。
 
「電話を含め、何度も球団上層部と話し合っています。3年総額6億円の条件提示がされた後にFA宣言したので、退団は時間の問題でしょう。DeNA、中日、西武、楽天、巨人が早くも興味を示しています」(スポーツ紙記者)

 鈴木に興味を示した球団サイドから出た言葉は「どこでも守れる」というもの。今季は主にファーストで出場し、内野ならどこでも守れる。他にレフトの守備もこなしており、“ユーティリティー・プレーヤー”であることが鈴木の価値を高めているようだが、ロッテ内部からはこんな情報も聞かれた。

「本人の意思を探りながら残留交渉をしている…」

 どういう意味かというと、鈴木は“ユーティリティー・プレーヤー”としての高評価が不満らしい。というのも、スタメンが選手に伝えられるまで守備位置が分からない。打順にしても、そうだ。

 俊足でチャンスメイクできるタイプだが、キャリアハイとなる2割8分8厘の今季の打率成績も裏目に出た。出塁を託される1、2番ではなく、走者を返すクリーンアップや主砲の後を任される試合もあった。そういった便利屋稼業が辛く、選手起用は「監督の権限」なので、フロントは何も言えなかったことがFA宣言につながったようだ。
 
「鈴木は色々なポジションを経験し、勉強になったと言っていましたが…」(関係者)とも聞くが、“ホンネ”を口にすればチーム批判になる。それも選手会長の発言となれば、たとえ残留してもチームの今後に影響してしまう。鈴木は黙って行動に移したというわけだ。

 鈴木に興味を示す他球団は「どこでも守れて」と判で押したように言うが、それは鈴木の本心とは異なる。今でこそだが、今季開幕戦のスタメンを外された時点で、鈴木には何か思うところがあったのかもしれない。鈴木の交渉は長期化しそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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