最もお得なのは?「電力会社」乗り換えキャンペーンが百花繚乱/佐藤治彦「儲かる“マネー”駆け込み寺」

 毎月支払う電気代。高いよね。それでも他の先進国に比べると決して高くないという。16年4月に始まった「電力の自由化」によって、いろんな会社から選べるようになり、新しい電力会社は必ずと言っていいぐらい「従来よりも安い電気代になります」と加入者を募った。切り替えキャンペーンもあって、私の友人などは1年ごとに電力会社を変えて、相当、電気代を浮かした猛者もいる。皆さんは、どうだろうか?

 電力の自由化から9年。私は最初の2〜3年は1つ、2つと電力会社を切り替えたのだが、最近はそのままだ。そこで今回、手当たり次第に調べてみた。すると、不思議なプランの会社が山ほど。どの電力会社にすればお得になるかは、どのくらいの電気をどのように使うか、どこの地域に住んでいるかなどで異なる。なので、気になる会社があれば、ぜひ、自分に合うか調べてもらいたい。

 毎日決められた2時間の電気料金が無料になるのが「HTBエナジー」のママトクプランだ。朝の6時から8時、夜の7時から21時、深夜に近い22時から24時の3つの時間帯のうち1つを選ぶと、その時間帯に使った電気料金は無料になるというもの。

 洗濯や掃除など、無料の時間帯に集中して使えば電気代が浮くのだが、調べてみると、その2時間以外(22時間)の電気料金がものすごく高いというわけではないけど、やや基本料金が高めという料金体系になっている。

 30分ごとに電気代が変化して、変化する料金をこまめに知らせてくれるから、安い時間帯に集中して使えば安くなるのが「Looopでんき」だ。

 季節によっても料金が変化し、春秋は安いけど夏冬は従前の大手電力会社より高めだという。契約期間の縛りはないので、暖房はガスや灯油という方は、冬と夏だけ他の電気会社に切り替えるのもありかも。

 ちなみに、3月中に他社からの切り替えや新規契約をすると、全員にAmazonギフト券7000円分がもらえるキャンペーンを実施中だ。

 暮らし方によって使う電気料金の割引があるのが「リボンエナジー」。持ち家ならマイホーム割引、ペットと暮らしているならペット割引のほか、太陽光割引、オール家電割引などさまざまな割引がある。

 従来の大手電力会社の場合、契約アンペア数によって基本料金が必要なことが一般的だ。「東京電力」のスタンダードプランなどは10アンペアにつき約312円なので、例えば40アンペアだと基本料金は約1250円になる。

 そうした基本料金を0円にしたのが「楽天でんき」だ。さらに、楽天ポイントがたまるお楽しみ付きだが、電気料金はやや高め。

 楽天のライバルといえばソフトバンク。「ソフトバンクでんき」は、初月全額無料というキャンペーンを行っている。最初の1カ月の電気代が無料なら、7月や8月のエアコンで電気代がうなぎ登りになる月から入りたい。ただし、24カ月以内に解約すると解約手数料がバカ高くなる。肝心の電気代は地域の大手電気会社とほぼ同じだというから、とりあえず2年間入ってみるのもいいかも。「1カ月だけ無料にされてもなぁ」という人は、泉ピン子のCMでおなじみの「エネワンでんき」のキャンペーンがすごい。キャンペーンの事前申し込みが必要だが、まずは5カ月間の基本料金が無料になる。

 さらに、紹介キャンペーンもやっている。これは、紹介した人と紹介された人の最初の1カ月の基本料金が無料になるというもの。公式サイトには「12人ご紹介で1年分基本料金が無料!?」と書いてあった。

 他にも、これは冗談かと思うようなキャンペーンも多く、そのうち家電芸人でなく、電力芸人が出てくることは間違いなしだ。

佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍中。8月5日に新刊「新NISA 次に買うべき12銘柄といつ売るべきかを教えます!」(扶桑社)発売。

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