ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)に追い風か。2月10日配信の「日本経済新聞」(電子版)が、金融庁が有価証券に並ぶ金融商品として位置付ける方向で検討に入ることを報じた。
記事によると、金融庁は暗号資産の金融商品取引法上の位置付けをより有価証券に近づけることを検討するという。2025年6月中に暗号資産の制度改正の方向性を示し、26年の通常国会に関連法の改正案を提出することを目指す。暗号資産が有価証券並みの扱いになれば、現物のビットコインなどで運用するETF(上場投資信託)の解禁につながる第一歩にもなる。
ビットコインなどの暗号資産は値動きが大きく、大きなリスクが潜む一方、莫大な利益を手にすることも可能だ。ただ、ネックとなるのは「総合課税」だ。
現在、ビットコインなど暗号資産の取引による所得は総合課税が適用され、所得額により最大税率は45%にもなる。さらに住民税や復興特別所得税を含めると、最高で55%の税が課せられる場合もある。所得が大きくなるほど税率は高くなり、うま味が薄れるというデメリットがあるのだ。
「しかし、ETFでの取引で得た所得には通常『分離課税』が適用されます。総合課税は利益が多いほど税率は高くなりますが、分離課税が適用された場合、税率は一律約20%となります。ビットコインなど暗号資産ETFが日本で承認された場合、分離課税が適用されるかは未確定ですが、もし適用されると税制面で有利に働くことがあることから、投資家にとっては大きな魅力となるはずです」(マネー誌ライター)
米国では24年1月、米証券取引委員会(SEC)がビットコインを運用対象とするETFの上場を承認し、機関投資家の資金が流入。日本でもETFが承認されれば、暗号資産はさらに大変な盛り上がりになりそうだ。
(石田英明)