「国を挙げての金融教育」に拒絶反応続々、先に教えるべき「2つのこと」とは

 8月29日、金融庁が「2022事務年度の金融行政方針」に「金融教育」について「国全体として体制を検討する」と明記し、国家戦略として推進する方針であることが分かった。しかし、ネット上では《教えるべきことは他にもっとある》と反発の声が飛び交っている。

 関係者によると、現在、中学や高校の授業で取り入れられている金融教育を大学や社会人を含めた全世代を対象に実施し、金融商品への勧誘に対するルールなども見直されるという。岸田文雄首相が「新しい資本主義」を掲げ「所得倍増計画」を打ち出す中、金融教育を国全体で推し進め、金融リテラシーの向上を促す狙いがあるという。

 しかし、国家戦略としての金融教育にネット上では、《金融教育も結構ですが、その前に税金や社会保険の教育が必要なのでは?》《損も得も自己責任の投資を教育現場で教えるよりも、社会の仕組みの一つである税と社会保障を教える方が優先度が高いと思う》《金融教育を国全体で推進することで、それにのった詐欺被害がむしろ増えそう》など否定的な意見が少なくない。

「ネット上のコメントを読んでいると、いまだにお金に対する教育に拒否感を示す人がまだまだ多いのだなと感じます。過去に金融の教育を受けたことがあるかの質問に対して、アメリカでは約20%の人が『ある』と回答したのに対し、日本では半数以下の7%しかありませんでした。さらに、家計の金融資産構成では、アメリカでは貯金・預金が13%に対し、日本では52.5%と半数以上の人が投資にお金を回していないことも明らかになっています。金融教育を国家戦略にすることで所得が倍増するかどうかは分かりませんが、世界情勢の大きな変化にも対応できる金融リテラシーを身につけることは大事なのではないでしょうか」(経済ジャーナリスト)

 金融教育によって、貧しくなったと言われる日本は立ち直ることができるのだろうか。

(小林洋三)

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