真田広之主演の「SHOGUN 将軍」がゴールデン・グローブ賞4部門を総なめの快挙を果たし、日本の「時代劇」に世界から熱視線が送られている。そこでアサ芸「シリーズ昭和」では、世界が未見であろう「時代劇ヒーロー」をランキング。令和の世に血沸き肉躍るチャンバラ劇のスターたちが蘇る。
正月には17年ぶりに「暴れん坊将軍」新作が放送されるなど、今、時代劇が熱い! そこで、本誌では恒例1000人アンケートで「もう一度見たい昭和のテレビ時代劇」ランキングの作成を敢行。その結果はページ下部の通り。
堂々の第1位は「必殺仕事人」。金で恨みを晴らす「闇の死刑執行人」である中村主水( 藤田まこと)は、昼はうだつの上がらない役人で家に帰れば姑と妻にいびられる設定だった。
時代劇研究家のペリー荻野氏がその魅力を語る。
「シリーズはいろいろありましたけど、必殺はハズレがない。定番の面白さです。特に『仕事人』はメンバーが入れ替わりつつ長らく続きました。三田村邦彦さんや村上弘明さんなど明らかに女性ファンを意識したキャスティング。仕事人がいいのは、そういうミーハーなところなんですよ。アメリカ行っちゃったり、ルービックキューブが出てきたり。幅広くいろんな物事を受け入れる。何でもありの面白さですよね」
「必殺仕事人」「水戸黄門」など数々の時代劇に出演、80年版の「将軍 SHOGUN」では殺陣師の補佐として関わった俳優の山本竜二氏は、ライティングの巧みさに注目する。
「僕は大映京都撮影所の出身だから正直、東映の時代劇はあんまり好きじゃない。『暴れん坊将軍』の火消、め組の連中がいる部屋なんて明るすぎる。それと比べ大映の『座頭市』と『木枯し紋次郎』は画面暗いでしょ? 江戸時代さながらのロウソクの灯りがリアルですけど、あれだけ暗いとテレビが壊れたんかと思われてしまう(笑)。その中間、光と影をうまいこと使ったのが松竹の必殺です。象徴的なのは主水が歩いて殺しに行く場面や飾り職人の秀が走るシーン。光と影のコントラストが絶妙でした」
必殺シリーズの映像美はカメラマン・石原興と照明・中島利男の天才職人コンビがなせる業なのだ。
「水戸黄門」が2位をゲット。昭和の黄門様といえば、東野英治郎、西村晃が思い浮かぶ。
「西村さんは普段からカッコいい人で俳優会館からセットやオープンセットに行くまで、撮影所内では黄門様の格好をしてローラースケートで移動してましたよ。かっこええな、でもこけたら衣装台無しやで、と思ってましたけどね(笑)」(山本氏)
誰もが真似た、くわえ長楊枝の中村敦夫主演「木枯し紋次郎」が3位で、いぶし銀の存在感をアピール。
「ストーリー的には救いようがないんです。世の無常、そうそう世の中甘いもんじゃないということを想い起こさせる。出てくる女性はみんな悪女だし。家族全員で楽しんだ勧善懲悪の『水戸黄門』と違った大人の時代劇。紋次郎って正義の味方でも何でもない。しゃべらない、笑わない、人と交わらない。『あっしにはかかわりのないことでござんす』。何の器用さもない。何の精密さもない。でも生き残っていくしかない、というキャラクターにびっくりしました」(ペリー氏)
明日は明日、今日も行く股旅の風来坊こそ男のロマンなのだ。
(つづく)
【血湧き肉躍る!もう一度見たい時代劇ドラマ20】
1位:必殺仕事人(藤田まこと)359票
2位:水戸黄門(東野英治郎)289票
3位:木枯し紋次郎(中村敦夫)198票
4位:暴れん坊将軍(松平健)192票
5位:座頭市物語(勝新太郎)175票
6位:必殺仕掛人(緒形拳)162票
7位:遠山の金さん(杉良太郎)154票
8位:大岡越前(加藤剛)150票
9位:子連れ狼(萬屋錦之介)139票
10位:影の軍団(千葉真一)128票
11位:鬼平犯科帳 121票
12位:銭形平次 119票
13位:桃太郎侍 113票
14位:江戸を斬る 108票
15位:浮浪雲 104票
16位:大江戸捜査網 100票
17位:女ねずみ小僧 97票
18位:伝七捕物帳 87票
19位:長七郎江戸日記 86票
20位:柳生一族の陰謀 84票