自民党の小野寺五典政調会長が、12月22日のNHK討論番組「日曜討論」で、国民民主党が求める所得税の非課税枠を「178万円」に引き上げる案について与野党議員らと討論。その中での「手取りが増えてしまう」との発言が波紋を広げている。
小野寺氏は非課税枠「178万円」に引き上げると、年収400~500万円の所得層は手取りの増加が3、4万円程度になるとした上で、年収2000万円以上の層では「30万円以上、実は手取りが増えてしまう」と発言。低所得者は増えた手取りをすぐ使うが、高所得者は使わないので景気対策にはつながらないのでは、との懸念を示した。
この発言シーンの動画がSNS上で拡散され、23日には「手取りが増えてしまう」というワードがXでトレンド入り。小野寺氏に対する批判的な意見が殺到し、「頑張って稼いだ人は多く納税しているので、返ってくる額が多いだけのこと」「国民の手取りが増える事がそんなに許せないのか」「自民党は次の参議院選挙で大惨敗したいらしい」「やはりコレが本音なんだよ」などのコメントが集まった。
「小野寺氏は20日放送のほかの番組で『日本国民の6割は実は納税をしていない人』『この人たちを支援する予算も実はなくなってしまう』といった発言もしています。これに対しても『なんでたった4割の頑張っている労働者が、“無職”に金配るために搾取されなきゃなきゃならんの?』『現役世代は非課税世帯のためのATMだそうです』『所得税を支払っていない世帯へのバラマキを正当化』といった強烈な声が寄せられていました」(ウェブライター)
6割非納税の発言について、国民民主党の玉木雄一郎代表は21日、自身のYouTubeチャンネルでライブ配信し、「4割の税金をまじめに働いて払っている人たちをほったらかしていいのか、そこにさらに負担をかけていいのかということを本気で考えてこなかった政治だから、こんなことになってるんじゃないの」と反論していた。
「178万円」の行方が来夏の参院選に大きな影響を与えるのは確実。今後の動向が注目される。
(鈴木十朗)