ルール改悪だけじゃない「青春18きっぷの旅」に立ちはだかる「ダイヤ改正の壁」

 この冬からルールが大幅に変更され、改悪だと批判を浴びている青春18きっぷ。利用者にとって問題は、ルールの変更だけではないようだ。

 12月13日、JR北海道は25年3月のダイヤ改正のリリースを発表。その中で札幌発釧路行きの特急おおぞら7号の停車駅だった追分駅、新夕張駅、池田駅、白糠駅を今後は通過することで短縮化を図るとしている。そもそも18きっぷでは特急に乗車できないが、実は大きな関係がある。

 石勝線の新夕張―新得間は特急列車しか走っておらず、特例で青春18きっぷでの乗車が認められているのだ。こうした特例区間は、他に東室蘭―室蘭、新青森ー青森、早岐ー佐世保、宮崎ー宮崎空港があり、18きっぷユーザーの間では有名だ。この度、おおぞら7号がダイヤ改正で3月15日以降、新夕張駅を通過すると決定したことは、利用者たちの旅行計画に大きな影響を及ぼす可能性が高いのだ。

 これまで、おおぞら7号を使って新夕張ー新得を移動することで札幌、新千歳空港から1日で釧路まで移動することができたが、3月以降はそれが不可能になる。そもそも新夕張駅に向かう普通列車は1日2本と極端に少ない。仮に普通列車が現在と同じダイヤだった場合、3月以降は列車を乗り継いでも釧路駅から76.7キロ手前の浦幌駅までしかたどり着けない。

 しかも、浦幌駅周辺には宿泊施設がほとんどないため、ホテルなどを考えるとさらに手前の帯広で降りるしかない。つまり、今後は日高山脈を越えて道東に向かうルートに大きな制約が生じるわけだ。

 なお、北海道以外だとJR西日本の姫新線の新見ー中国勝山間も最終列車が1時間近く前倒しされるため、こちらも注意が必要だ。JR四国では、特急と普通列車合わせて23本の減便、JR九州も関門トンネルを通る午前10、11時台の下関ー小倉間の列車をこれまでの1時間3本から2本に減らすとそれぞれ発表している。

 一方、移動が便利になりそうな区間もある。北海道の旭川ー網走を結ぶ石北本線だ。現在は「特急大雪」が1日2往復運行しているが、ダイヤ改正後は「特別快速大雪」となることが決まっている。18きっぷでの乗車が可能となり、所要時間も特急とほとんど変わらないので朗報と言えそうだ。

 ルール変更に加え、ダイヤ改正の影響もあり、ルート決めに頭を悩ませる人もいるだろう。でも、そこも含めて旅の醍醐味だと楽しむべきなのかもしれない。

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