東京の「PFAS汚染」がかなりヤバい雰囲気を漂わせている。
PFASとは人工的に作られた有機フッ素化合物の総称で、人体や環境への有害性が指摘されたことから、そのうちのペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物については2020年に「1リットルあたり50ナノグラム」という暫定目標値が定められている。だが昨年10月、岡山県吉備中央町で水道水から1400ナノグラムのPFASが検出されていたことがわかり、国が全国調査を実施した。11月29日に岡山県が公表した検査結果では、検査した箇所全てで国の暫定目標値を下回っている。
ところが騒動はこれだけでは収まらなかった。12月1日放送のNHKスペシャルが「調査報道 新世紀File8 追跡“PFAS汚染”」と題して、PFAS汚染の最新状況を徹底取材。米国では24年前に発がん性物質と認定され製造中止になったのに、日本では5年前まで使用可能とされていたこと、今でも検査や報告の法的義務がないこと、イタリアでは心血管疾患による死者が激増などといった驚くべき事実の数々に、視聴者から悲鳴が上がった。
さらに衝撃的だったのは、NHKが作成した「水道水のPFAS検出状況マップ」だ。このマップは、環境省と国土交通省が公表した水道のPFASの調査結果をもとに作られたもので、定量下限値または検出下限値未満は「青」、暫定目標値(50ng/L)以下は「黄」、暫定目標値(50ng/L)超過は「赤」で色分けされている。ほとんどの自治体は暫定目標値以下だが、なぜか東京都は檜原村や昭島市、武蔵野市、羽村市を除き全ての地域が真っ赤だったのだ。
SNS上では「東京危険すぎるだろ!」「浄水器買わないとヤバいな」といった声が相次ぐなど、ちょっとした騒動に発展している。
実はこのマップ、2020年4月から24年9月までの「最大値」を色分けしているため、東京の「赤」は2020年時点での数値なのだ。最新の検査結果ではすべて暫定目標値を下回っているため一安心といったところだが、むしろつい4年前まで目標値を超えていたというのは、かなり大問題といえるだろう。
石破茂首相は、12月3日の参院本会議でPFASに関し、水道事業者への検査・公表義務付けなどの管理強化策を来春をめどに取りまとめる考えを示した。日本の水は世界でもまれに見る安全安心な品質だといわれてきたが、どうやらその「神話」が崩れつつあるようだ。
(ケン高田)