「案件」は襲撃・薬物売人・武器密輸…「海外闇バイト」の実態

 現在、日本で大きな社会問題となっている闇バイト。彼らの多くはロシアの「テレグラム」や米国で開発された「シグナル」など秘匿性の高い通信アプリを連絡手段に使用しているが、海外でもこれらのアプリを連絡手段として用いた闇バイトが横行している。

 今年9月、ロシアのヤマロ・ネネツ自治管区のノヤブリスク空港に駐機中の軍用ヘリコプターが炎上したが、これは10代の少年2人による放火事件。テレグラム上で知り合った相手に500万ルーブル(約700万円)の大金を提示され、飛びつくも支払われることがないまま逮捕。2人にはすでに懲役20年の実刑判決が下されたという。

 また、昨年にはエストニアの首都タリンにあるNATOのサイバー防衛協力センターの壁が落書きされたが、これも闇バイトによる犯行だ。しかし、犯人のラトビア人青年が受け取った報酬額は、わずか400ユーロ(約6万3000円)とあまりに安い。

「こうした工作員系の闇バイトは、ロシアやその周辺地域を中心に多数確認されています。ただし、指示を出した依頼側は捕まっておらず、愉快犯か諜報機関が依頼したのかは定かではありません」(海外闇バイト事情に詳しい週刊誌記者)

 また、11月にスペインではSNSで殺人や襲撃などを行う人員を募っていた犯罪組織が摘発。募集や報酬の受け渡しを担当していた15歳のスウェーデン人少年を逮捕したとスペイン当局が発表している。

「さらに最近では、武器などの密輸、薬物売人などもネット上で募集しています。例えば、メキシコの麻薬カルテルが闇バイト募集に利用しているのはオンラインゲームのメッセージ機能。断ったら命の危険があると恐れ、引き受けてしまう若者も多いようです」(同)

 日本の闇バイトも悪質極まりないが、海外のほうがさらにタチが悪そうだ。

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