11月7日の中間決算発表で、本業の儲けを示す営業利益が、前期比で90.2%減となった日産。それにより、世界で9000人規模の人員削減と、生産能力の20%削減を公表するなど、厳しい経営状況が明るみになっている。だが、企業防衛に関しては盤石の体制を築きつつあるようだ。
「日産は『モノ言う株主』対策として、西村あさひ法律事務所の太田洋弁護士を起用したようです。というのも、あの『村上ファンド』系の投資ファンドが大株主として名前を連ねていることがわかったからです。すでに9月30日の段階で2.5%の大株主だったので、以前から同社は、モノ言う株主=アクティビスト対策に真剣に取り組んでいたのでしょう」(経済ジャーナリスト)
村上ファンド系の名前が上がったからか、同社株を巡っては様々な思惑が渦巻き、中間決算発表後も、本来なら大幅に下落してもおかしくない状況ながら、一時は約20%も値上がりした。
「村上ファンド系の投資ファンドが登場したとなれば、今後、同社に対し厳しい要求がなされることが容易に推測されます。その対策もあって太田弁護士を起用したのでしょう。同氏は昨年の『企業が選ぶ弁護士ランキング』のM&A部門でトップに選ばれたほど、この手のことに明るい弁護士です。実際、過去には、大阪証券取引所やTBS株の買い占めの際や、最近でも東芝機械の一件でアクティビストと対決しています」(前出・ジャーナリスト)
もっとも、アクティビストが動くのは、有効な資産が活用されないままだったり、株主軽視の経営を行うなど、企業が自らの企業価値を最大限に発揮出来ていない場合と言われる。
日産が行うのは自らの不明を糊塗するだけの対策なのか、それとも、株主や従業員のための企業防衛なのか。今後の行方が注目されるのである。
(猫間滋)