今年最強とも称され、気象庁が上陸予想の3日前に異例の緊急会見を開いた台風19号。9月9日の台風15号による甚大な被害を受けた千葉県では、まだ屋根の修復工事すら終わっていない民家も多い。今回の台風でさらなる被害拡大が懸念されるが、先の台風で倒壊した千葉県市原市のゴルフ練習場と被害住民との話し合いは平行線のままだ。
10月10日に行われた住民説明会では、無償で支柱の撤去工事を名乗り出た解体業者が、作業に伴う損害を補償する賠償責任保険に加入することを説明。保険料はゴルフ練習場側が負担する。15日から準備工事に入り、28日には着工するという。これには被害住民も概ね同意したというが、やはり話がこじれたのは、自然災害による損害に対して法的責任はないという練習場側の姿勢だ。
「台風19号の上陸を前に、全国のゴルフ練習場の経営者が戦々恐々としているようです。ほとんどの練習場は、客や周辺住民に迷惑を掛けないため、施設賠償保険に入っているはずですが、大口の保険に入りたくても入れないという厳しい現実もある。施設の維持費や修繕費も掛かりますし、ゴルフ人口の減少で経営が厳しいところが少なくないのです」(専門誌ライター)
また、ゴルフ練習場は相続税が高く、一代で手放す経営者も多いという。このまま手をこまねいていれば、ゴルフ練習場は早晩なくなってしまうかもしれない。
「これは、もはやゴルフ界全体の問題です。渋野日向子を始め、新しいスターはゴルフ練習場から生まれている。何らかの救済制度を設けるなど、業界の課題として対策が求められますね」(同前)
ここはひとつ、協賛企業との交渉もこなす石川遼選手会長に期待したいところだ。
(スポーツライター・飯山満)