胃潰瘍にかかれば、胃の消化器官としての機能も低下。悩ましい口臭も引き起こしてしまうようで、
「ピロリ菌はアルカリ性が強い細菌です。酸性の胃酸を薄めてしまい、消化不良を起こしてしまいます。胃の中の食物がうまく消化されずに発酵してしまい臭いを発してしまうのです。卵の腐ったような口臭がすることがあります。と同時に、胃の中でガスも発生しているので、ゲップの回数も増えてしまうのです」
もっとも、似て非なる疾患が「逆流性食道炎」である。
「胃カメラで食道と胃のつなぎめに炎症があると『この人の胃にはピロリ菌はいないんだな』と思いながら見ています。いわゆる『むねやけ』の症状は胃酸によるもので、胃潰瘍ではあまり見られない症状。酸性が強くなるため、どちらかといえばピロリ菌に感染していないケースが多い。それでも逆流性食道炎にかかっていることで、すなわち胃潰瘍にならないというわけではありません」
刺激の強い香辛料や極端に熱いものを摂取するのも御多分に漏れずで、
「胃の粘膜にダメージを与えるものを大量に摂取するとリスクは高まります。特に高濃度のアルコールを摂取してしまうと胃の粘膜防御機能(胃液に消化されないためのバリア)がダメージを受けて血流が悪くなります。治療中や治療後は禁酒が絶対! もちろん、喫煙も血流を悪くするのでNGです」
最悪の事態を想定して、定期的な検診が肝要となる。
「飲酒・喫煙習慣がなくてピロリ菌に感染していなければ3年に1回、ピロリ菌に感染あるいは除菌治療をした場合は1年に1回の胃カメラを推奨しています。胃潰瘍は適切な治療をすれば基本的には治る疾患です。ただし、潰瘍の中にも良性と悪性のものがあります。良性であれば自然に治癒するケースもありますが、悪性だと胃がんやリンパ腫になって生命を脅かしてしまいます。こればかりは医療機関で検査をしないと識別できません」
身に覚えがなくても定期健診が吉となるのだ。
【「胃潰瘍」チェックシート(13)】
セルフチェックで6点以上は近くの医療機関へGO!
(1)毎日アルコール飲料を飲む 1点
(2)激辛や塩辛い食事を好む 1点
(3)喫煙習慣がある 1点
(4)親がピロリ菌に感染しており、幼少期に親が咀嚼した食物を口にしていた 1点
(5)幼少期に井戸水を飲んでいた 2点
(6)痛み止めを飲む時に胃薬を一緒に飲まない 2点
(7)ゲップの回数が増えた 2点
(8)自分の口臭が気になる 2点
(9)痛み止めの薬を長期服用している 4点
(10)他人に口臭を指摘されたことがある 4点
(11)みぞおちの付近がチクチク痛む 6点
(12)数日、タール便が続く 6点
(13)激しく吐血した 6点