ベテラン相撲記者の中澤潔氏は、時代に合わせた指導ができなくては親方としての成功は厳しい、と警鐘を鳴らす。
「先代の鳴戸親方は糖尿病を克服して横綱にまで上り詰めました。昔では珍しかった筋力トレーニングをみずから課し、肉体的にも精神的にも鍛練を積んできました。稀勢の里も同様に厳しい稽古に耐えて横綱になりました。ですが、時代は変わりました。今のヤワな子供たちが稀勢の里が受けてきた厳しい稽古に耐えられるとは思えません。先日も貴ノ富士(22)が付け人に暴力を振るったことが大きく報じられましたよね。長年相撲を見てきましたが、昔ではニュースにもならないような出来事だと思います。世情も変わった今、どのように指導をしていくのか私が聞きたいくらいです」
稀勢の里自身、当時の稽古についてディナーショーで多くは語らなかったが、「今ではNGな指導もあったかもしれません」と当時の鉄拳制裁を匂わせる発言を漏らし、同時に「これからは弟子の考えにも耳を傾けて指導していきたい」と対話型の指導者を目指すと宣言していた。「ガチンコ相撲」の継承は、一筋縄ではいかないだろうが、野望は実現させてほしい。
ところで、独立して部屋を興すためには、真っ先に解決しなければならない懸念事項がある。
「嫁取り問題ですね。内弟子探しよりも難航するかもしれません。白鵬から『力士よりも先に嫁さんを内弟子にしたほうがいい』と冗談を言われるほど、結婚に無頓着なのは有名です。本人も『女性と付き合うよりも男友達とバカ話するほうが楽しい』と弟子たちに揚々と話していましたよ。元武双山・藤島親方のような独身親方の例もあり、よほどの良縁に巡り合わない限り、消極的な稀勢の里の結婚はないでしょう」(スポーツライター)
ディナーショーでは嫁取りのこぼれ話がいつ飛び出すかと期待された。後半に設けられた質問コーナーでは、その結婚にまつわる質問が飛び交った。
プライベートに関する質問はあらかじめNGだったが、皆、嫁取りの話を聞きたい気持ちを抑えられない。初めのうちは質問したファンを司会者が軽くたしなめることでかわしていたが、同じ質問が続いては、さすがの親方も返答せざるをえない空気になった。ところが、
「相撲を頑張りすぎたので、あまりそういったご縁がありませんでした」
と当たり障りのないことを言うだけで、核心めいた話はナシ。さる相撲部屋関係者は、「嫁候補はふつう、後援会がなんとかするものですがね‥‥」と言うが、ファンからは、
「2万円も払ったんだから、せめて好みのタイプくらい言ってくれてもよかったのに‥‥」
と落胆の声が漏れる始末だった。
チケット代はほぼほぼ豪華ディナーの料金に思えた。もし、次回があるのなら、ガチンコのホンネを堂々とお聞かせ願いたいものである。