2年前の夏場所で平幕優勝を果たし、主役となった朝乃山(27)。身長187センチの体軀を生かしたスケールの大きい相撲に、稀勢の里(現・荒磯親方)以来の日本人横綱誕生を夢想させてくれた。大関在位6場所目にして、それも昔の話になった今では「はーちゃん(バカ)」と陰口を叩かれる始末だという。
「愚直な右四つの一本槍から脱せずにいるためでしょう。同じ型でも突き出して組んだり、相手の裏をかいて組むなど、やりようはあるのに、バリエーションに乏しい。工夫がないから同じ右四つでパワーに劣る照ノ富士に5戦5敗なんです。すでに能力は頭打ちかもしれません」(大見氏)
本人だけの問題ではない。所属する部屋にも罪があるようで、
「高砂部屋は空中分解しています。きっかけは、昨年11月に定年を迎えた7代目高砂親方(元大関・朝潮)の後継に当時の錦島親方(元関脇・朝赤龍)が指名されたこと。部屋のナンバー2だった若松親方(元前頭・朝乃若)に継承予定だったが、寸前でひっくり返ってしまった。どうやら、継承のために提示された金を用意できなかったみたいです。後輩に部屋を譲ることになった若松親方の面子は丸つぶれ。すっかり無気力になっています」(角界関係者)
若松親方は朝乃山をスカウトした張本人。一本鎗の取り口を改善させる「師匠」のはずなのに‥‥。
「しかも、実質的に部屋を仕切っているのは先代親方夫婦。現親方は『雇われ』に過ぎません。その先代親方は弟子の自主性に任せると言えば聞こえはいいが、単なる放任主義。それをいいことに、朝乃山も自由気ままに過ごしているんですから、横綱の夢は泡と消えても不思議ではない」(角界関係者)
4人目の大関、正代(29)は今場所がカド番。まさに崖っぷちである。本来なら生き残りをかけて奮起しなくてはならないのだが、
「『ネガティブ力士』と評される性格は相変わらずで、土俵上でも相手に気合負けするシーンが多い。かつて、九州地方の巡業で他の力士にサインを求める列を見て、『熊本出身なのに、誰もボクのサインを欲しがらない』とヘコむぐらいですから、そう簡単には性根は直らない」(角界OB)
そんな正代が一転、超ポジティブに変身する瞬間がある。
「アニヲタなんです。だからアニメの話をする時だけ饒舌になります。稽古の合間に映画『シン・エヴァンゲリオン』を見に行ったぐらい。自分が感動した作品は付け人や部屋の若い衆にも強制的に見るように促している。時津風部屋の部屋頭として、公私ともに面倒をみる使命を果たしているつもりかもしれませんが、興味のない後輩からすれば、単なる『かわいがり』に過ぎない。そろそろアニメへの情熱を取組でも見せてほしいところです」(スポーツ紙デスク)
本格的な綱取りレースが観戦できる日をファンは待ち望んでいるが‥‥。
*「週刊アサヒ芸能」5月20日号より