9月に行われる自民党総裁選は、10人以上の候補者が立候補の意思を示すなど、大乱戦模様となっている。
中でも岸田文雄首相の不出馬宣言後、すぐさま、次期総裁候補として名前が挙がったのが、「コバホーク」の愛称を持つ小林鷹之前経済安全保障担当相だ。同氏は19日に正式に立候補を表明した。
「コバホークは現在49歳であり、世代交代を前面に出して戦っていくものと思われます。コバホークは小林氏のコバと名前の鷹『ホーク』をもじったもの。身長186センチというガタイの良さと、東大法学部卒旧大蔵省という肩書きで、早くから10年後の日本の将来を担う候補と目されてきました。今回、想像以上に早く総裁選立候補に至ったのは、政治とカネの問題で支持者が次々と自民党離れしていることが大きい。これに焦ったのが自民党若手である、旧安倍派の福田達夫元総務会長と無派閥の大野敬太郎氏らだったのです」(政治部記者)
福田氏と大野氏らは小林氏のために推薦人20人を確保し、立候補にこぎ着けた。一方、こうした若手の動きを尻目に虎視眈々と機会をうかがっていたのが老練な政治家たちだ。自民党長老が言う。
「中でも石破茂は過去4回チャレンジし、今回も立候補の意を固めた。だが、67歳の彼は、時ならぬ世代交代の空気に内心頭を抱えているかもしれない。しかも、かつては石破と連携した43歳の小泉進次郎も出馬する可能性が取り沙汰されている。立候補となったら、石破が密かに当てにしていた菅義偉元首相とそのグループも小泉支持に回るだろう。石破にとっては厳しい戦いとなる可能性が高いね」
他にも候補者は乱立の模様だ。林芳正官房長官、河野太郎デジタル相、茂木敏充幹事長、上川陽子外相に加え、斎藤健経産相や加藤勝信元厚労相、高市早苗経済安全保障担当相、野田聖子元総務相らの名前が挙がっている。
「しかし、彼らはみな60歳以上。つまり今回の総裁選は、世代交代か、政治経験豊富な政治家か、という話になる。ただ、世論は今の自民党には厳しく、よほど自民党が変わったという見せ方をしなければ政権交代も起こりかねない。その象徴がコバホークであり、進次郎なのです」(政治アナリスト)
総裁選まであと1カ月ほど。各候補の動きから目が離せないのである。
(田村建光)