自民党は岸田文雄総理の任期満了に伴う総裁選の日程について、9月12日に告示し、27日に投開票を行うことを決定した。石破茂元幹事長や小泉進次郎元環境相、河野太郎デジタル相といった有力候補の名が挙がっているが、いち早く出馬を表明したのが小林鷹之元経済安保相。メディアの注目が集まる中、8月20日放送の「BSフジLIVEプライムニュース」に政治ジャーナリストの田﨑史郎氏が小林鷹之氏と同氏を支援する議員の動きを分析。「実績もクソも何もない」とコキおろす一幕があった。
自民党の議員にとって、自民党の次期総裁は、次なる国政選挙を戦うための“顔”となる。また、総裁選で支援した議員が総理になれば、見返りとして次の選挙の際に応援演説に駆けつけてくれるというメリットがある。こうした駆け引きについて、田﨑氏は次のように分析した。
「要するに大事なのは、自分が当選するために、誰がいちばん有利に働くかっていう視点なんですよ。過去いろいろお世話になった貸し借り、これもなるべく返したい。でも自分が当選するために誰がいいか。いちばん有利に働くのは誰だっていう観点で党の顔を選ぶ選挙になると思うんです。今回、コバタカさん(小林鷹之氏)に集まってきている人たちは、コバタカさんだと自分に有利になると思ってるんですよ」
そこで司会の松山俊之キャスターが「そこまで知名度が上がっていると?」と質問を投げかけると、田﨑氏は「知名度が上がってるんじゃなくて」と否定してこう続けた。
「いちばん説明しやすいんですよ。コバタカさんは実績もクソも何もないわけですよ。だから冷静にお話すると、小林さんならば、『私は自民党を新しくしていくんです』ということですよね。『生まれ変わるんです』と。だから(当選の)期が若い人たちはいろいろ言われても、『私たちも生まれ変わるんです』、『新しくなるんです』と言ってればだいたいの批判はかわせちゃうわけです」
8月19日に行われた小林氏の記者会見には、20人を超える中堅・若手議員が出席した。総裁選立候補に必要な20人の推薦人はすでに確保していると見られるが…。政治部記者はこう話す。
「確かに田﨑氏が指摘したように、小林氏の会見に同席した国会議員は当選1期目の新人が9名。地盤のない若手にとって、次の選挙を戦うためには藁にもすがる気持ちではないでしょうか。改めて小林氏を支援する議員の顔ぶれを見ると、政治資金パーティー裏金問題で『戒告』の処分を受けた大塚拓衆院議員、旧統一教会との関係について『何が問題かわからない』と発言した福田達夫元総務会長ら、脛に傷のある人物ばかり。過去に問題を指摘された議員にとって『生まれ変わる』はこの上ないキャッチフレーズと言えるでしょうね」
総裁選で自民党は生まれ変わることができるのか。そして次の選挙をどう戦うのか。与党の動きから目が離せそうにない。
(福島シゲル)