TVer配信はそのためだったのか…ロス五輪中継で民放局が撤退する莫大放映権料の限界

 8月11日に閉幕したパリオリンピック。日本は金20、銀12、銅13個と合計45個のメダルを獲得し、金20個は米中に続き3位。メダル獲得数も世界6位と大健闘の大会になった。ただし、次回の28年ロサンゼルス大会に今回の好成績が“追い風”として結びつくかは不透明だ。

「例えばテレビ放映権料。毎回大幅な右肩上がりで高騰を続け、4大会(18年冬季平昌、21年東京大会、22年冬季北京、24年パリ大会)で、何と日本のテレビ局は総額で1100億円を国際オリンピック委員会(IOC)に収める形になっています。NHKだけではとても賄いきれる額ではなく、日本民間放送連盟(民放連)で構成するジャパン・コンソーシアムが購入しているわけですが、次回のロス五輪に向けた放映権契約はまだ結ばれていない状況です」(夕刊紙記者)

 これまでは基本的に全競技生中継が基本だったが、パリ大会ではレスリングや男子のゴルフも当初は生中継する枠がなかったという。

「結局、最終的には切り売りされることになったんです。IOCが放映権料の枠組みをどういう形で取るのかまだわかりませんが、現状から下がることはまず考えられない。次回の交渉も相当苦戦すると思います。最悪、多くの民放キー局が五輪中継を撤退する可能性も十分ある。それを見越して今回はTVerでの配信を行ったんです」(民放連関係者)

 IOCの日本企業によるスポンサー契約も大きく変わる。18年の冬季平昌から24年パリ大会まで総額約8億3500万ドル(当時のレートで約1312億5000万円)のスポンサー契約を結んでいたトヨタが、契約更新の意思がないことをすでにIOCに伝えている。

「ロス五輪は米国が威信をかけて成功を目指すでしょうから、日本企業はますます蚊帳の外状態になるでしょう。加えて、金満五輪にますます拍車がかかることは確実です」(IOC担当記者)

 ロス五輪では野球やソフトボールが復活するが、日本で人気に火が付いたブレイキンは不採用が決定している。中継といい競技といい、早くも逆風の雰囲気が漂っているのである。

(小田龍司)

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