【北朝鮮】足の指や手がない…英紙が衝撃報道 核実験場周辺で急増する「幽霊病」の正体

 8月2日、英紙「ザ・サン」が驚くべき記事を掲載した。同紙は2015年に北朝鮮を脱出した男性にインタビューしているのだが、男性いわく、北朝鮮の核実験場周辺では「幽霊病」と呼ばれる原因不明の病気が蔓延しており、「放射能の影響で北朝鮮では肛門、足の指、手がない子供が生まれている」と証言。これまで一切が闇に包まれてきた核実験場周辺の実態が明らかになったのである。

 北朝鮮が北東部の豊渓里にある核実験場で初めて核実験を実施したのは、2006年10月。以降、同実験場でこれまでに6回の核実験を行ってきた。

「防衛省の試算によれば、初めての核実験での爆発規模はTNT火薬に換算しておよそ0.5キロ~1キロトン。威力は広島に投下された原爆の15分の1以下だったとされます。ところが09年5月の2回目は推定2~3キロトン。13年2月の3回目にはそれが6~7キロトンに増え、16年の4回目、5回目の際の爆発規模は、およそ11~12キロトン。そして、『ICBM=大陸間弾道ミサイルに搭載する水爆の実験に成功した』と大々的に発表した6回目の17年9月の爆発規模は、過去最大の160キロトンとされ、これは広島に投下された原爆の10倍以上と推定されています」(外報部記者)

 実は、核実験場がある豊渓里周辺地域における放射性物質拡散の危険性は、かねてから指摘されており、23年2月には、韓国を拠点にした国際人権調査団体「転換期正義ワーキンググループ」が、周辺に住む数十万人に実験場から流出した放射性物質が地下水を通して拡散している、との分析結果を発表している。

「元になっているデータは、韓国政府が17年、18年の2回、豊渓里周辺出身で現在、韓国に住む脱北者40人に対し被曝検査を実施したもの。その結果、40人中9人、つまり22.5%の住民から多数の染色体の異常や、高い放射線量が検出されたというのです。原子爆弾であることから、当然、豊渓里での放射性物質拡散の危険性は指摘されてきました。しかし北朝鮮が正確なデータを一切公開していないことから、周辺地域への影響を知るすべはなかった。そういう意味では、核実験場周辺の現状を知る画期的なデータだとされていました」(同)

 今回、「ザ・サン」のインタビューに応じた脱北男性は、かつて豊渓里の核実験場から近い吉州郡で暮らしており、自身の27歳になる息子も幽霊病にかかり命を落としたという。

「息子が高熱に冒されたのは14年10月頃で、北朝鮮では医療は無料とされているものの、薬局の棚には薬は1つもなく、国連からの医薬品もすべて政府幹部らが買い占めているのだとか。そこで、男性は闇市場で中国から密輸入された薬を購入。飲ませたもののまったく回復の兆しが見えず、病院に連れていくと医師から肺に穴が二つ開いていると診断され、『同じ症状を訴えて来院する若者が後を絶たない』と言われたそうです」(同)

 さらに男性はインタビューで、「吉州では肛門、足の指、手がない子供が産まれることがごく普通のこと」「この地域の医師らは正体不明の病気で無力さを感じている」と答えているが、驚くのはそれだけではない。なんと豊渓里で核実験が行われる際も周辺住民には一切の事前通達がなく、3回目の核実験当日、家の中の壁時計や電球が揺れ地震かと思い外に飛び出した男性は、後のラジオ放送で豊渓里の軍事統制区域が核実験場があり、そこで3回目の核実験が行われたことを知ったという。

 男性自身も脱北後、韓国で放射能検査を受けると放射能に被爆していた。白血球の数値が著しく低下しているとの診断を受け、原因不明の頭痛で1年に6回も入院したという。結局、息子は18年5月に死亡。男性は「幽霊病の正体は放射能だと考えて間違いないと思う」とインタビューに答えている。

 専門家によれば、核実験場周辺で採取され中国に輸出されたマツタケなどの農水産物が、中国産として日本にも密輸されている可能性もゼロではないという。それが事実で、もし我々が口にしてしればとんでもない話だが、南北関係が冷え込む中、またもや金正恩氏が核実験を脅しの材料に使うかもしれず、危険は拭えない。

(灯倫太郎)

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